石谷 孔司さん 写真
Research NEWS

高精度な縄文人・弥生人ゲノムが明らかにする祖先集団の歴史と食への適応進化

医薬保健研究域附属サピエンス進化医学研究センター、助教
石谷 孔司ISHIYA, Koji

—-

 金沢大学医薬保健研究域附属サピエンス進化医学研究センターの石谷孔司助教は、東邦大学の水野文月准教授、総合研究大学院大学の五條堀淳講師、王瀝客員教授(当時)、農業・食品産業技術総合研究機構の熊谷真彦主任研究員、國學院大学の谷口康浩准教授、土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアムの松下孝幸館長らと共同で、従来の水準を大きく上回る高精度な縄文人・弥生人ゲノムの構築に成功しました。

 日本国内、特に本州の遺跡から出土する古人骨では、酸性土壌や温暖湿潤な気候の影響によりDNA が分解されやすく、欠損の少ないゲノムを得ることは困難でした。本研究では、縄文人と弥生人から高精度かつ欠損の少ないゲノム配列を取得したことで、ユーラシア大陸の古代集団との遺伝的関係、祖先集団サイズの変化、でんぷん消化に関わる遺伝的特徴など、従来のデータでは分かっていなかった複数の知見を得ました。

 本研究成果は、古代の人々の移動、文化や生活様式の変化、環境変動が、現代人の遺伝的特徴の形成にどのような影響を与えたのかを理解するための重要な手がかりとなります。

 本研究成果は、2026 年7 月23 日(米国東部時間)に米国科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載されました。

 

図1:遺跡の位置と古代人ゲノムの被覆度(※)
 この図は日本列島における古代人ゲノムの分析試料(研究開始当時)における遺跡位置と被覆度を示している。色付きのブロックは本研究での対象試料、灰色のブロックは主な既報試料。カラーバーは年平均気温(統計期間1991~2020年、気象庁提供)。
(Ishiya et al., 2026, PNAS. CC-BY4.0 に基づき一部改変)

【用語解説】

※ 被覆度(カバレッジ)
 ゲノム上の各位置が、DNA配列の読み取りデータによって平均何回読み取られたかを示す値です。例えば、ゲノムの被覆度(カバレッジ)が67倍の場合、ゲノム上の各位置が平均約67回読み取られたことを意味します。被覆度(カバレッジ)が高いほど、遺伝子型や遺伝子コピー数などを、より正確に推定できるとされています。

 

プレスリリースはこちら

ジャーナル名:Proceedings of the National Academy of Sciences

研究者情報:石谷 孔司

関連情報

金沢大学 医薬保健研究域附属サピエンス進化医学研究センター

 

FacebookPAGE TOP