金沢大学人間社会研究域人文学系/子どものこころの発達研究センターの村山恭朗准教授を中心とする共同研究グループは、子どもの「見えにくい孤独」を短時間で把握できる新しい尺度「Kanazawa University Loneliness Scale for Children and Adolescents (KULoS)」を開発し、その有効性を明らかにしました。本尺度は、小学1年生から中学3年生までを対象に、わずか4つの質問で孤独感の状態を評価できる点が特徴です。信頼性と妥当性に優れ、学校や地域の支援の現場でも手軽に活用できることが確認されました。
本研究は、2024年1月の能登半島地震後の子ども支援の一環として、石川県内の小中学校で実施された調査に基づいています。調査は2回にわたって行われ、2024年10月には856人、2025年2月には709人の児童生徒が参加しました。分析の結果、KULoSで測定された孤独感は、子ども自身の抑うつ症状と強く関連しており、さらに、ある時点での孤独感の高さが、約4カ月後の抑うつ症状の悪化を予測することが明らかになりました。
災害後の子どもたちは、一見落ち着いているように見えても、心の中では孤独や不安を抱えている場合があります。しかし、孤独感は本人が言葉にしにくく、周囲からも把握しにくいという課題があります。本研究は、こうした「気づきにくいサイン」を、子どもに大きな負担をかけることなく把握するための実践的な手法を提示するものです。本成果は、被災地支援にとどまらず、日常の学校保健や教育相談、地域における子ども支援の場面での活用が期待されます。
本研究成果は,2026年5月5日に国際学術誌『Discover Mental Health』のオンライン版に掲載されました。

表1. KULoSの教示および項目
各項目は、「まったく感じない」(1点)から「いつも感じる」(4点)までの4段階で評価する。孤独感の評価は、4項目のうち直接的に孤独感を尋ねる項目(奇数項目)の合計で行い、得点が高いほど孤独感が強いことを示す。残りの項目(偶数項目)は、回答の偏りを防ぐための「緩衝項目」である。(Murayama Y. et al., Discov. Ment. Health (2026)を基に作成。)

図1.KULoSの予測的妥当性
数値は、標準偏回帰係数を示す。孤独感(KULoS)と抑うつ症状の相互の影響について、0.03は弱い効果、0.07は中程度の効果、0.12は強い効果を表す。(Murayama Y. etal., Discov. Ment. Health (2026) を基に作成。)
ジャーナル名:Discover Mental Health
研究者情報:村山 恭朗
関連情報
金沢大学 子どものこころの発達研究センター:https://kodomokokoro.w3.kanazawa-u.ac.jp/
金沢大学 人間社会学域:https://hss.w3.kanazawa-u.ac.jp/
金沢大学 人間社会学域 人文学類:https://jinbun.w3.kanazawa-u.ac.jp/
金沢大学 大学院 人間社会環境研究科:https://human-socio.w3.kanazawa-u.ac.jp/