学長メッセージ

オール金沢大学で「未来知」により社会に貢献する

 

 今年の1月1日に発生した令和6年能登半島地震により、能登半島を中心に、各地で甚大な被害が生じました。被災された全ての皆様に、⼼よりお⾒舞い申し上げます。今なお元の生活には程遠い状況であり、一日も早い復旧・復興・再建を心よりお祈り申し上げます。 

 地球環境問題や長引く紛争など、世界では依然として大きな社会課題が山積しています。このような国際情勢のなかで、令和6年能登半島地震が発生しました。発災以降、被災地ならびに国内外の社会に対して何を果たすべきか自問し続けています。

 発災直後、1月1日に災害対策本部を立ち上げ、1月30日に「能登里山里海未来創造センター」を設置しました。金沢大学の英知を集結することにより、「地震・災害に強く安全・安心で、誰もが住みよい、文化薫る地域・まちづくりとひとづくり」に寄与し、令和6年能登半島地震の被災地の復興に資することを目的としています。本センターは、オール金沢大学で地域・自治体・企業との協調・共創と文理医の融合を基盤としています。そのうえでアカデミアとして中長期的視点から、能登における教育、医療、文化、産業の復興・再生そして継続的発展を強力に推進いたします。

 令和月に金沢大学長を拝命し、月に金沢大学未来ビジョン「志」を公表してから約年が経ちました。未来ビジョン「志」では、金沢大学憲章にある「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」という基本理念のもと、揺るぎない未来ビジョンを「オール金沢大学で『未来知』により社会に貢献する」として明確に示しています。研究、教育、経営に対して、それぞれ「世界的研究拠点の形成」、「社会の中核的リーダーたる金沢大学ブランド人材の輩出」、「持続可能で自律的な運営・経営の実現」というつのあるべき姿を掲げました。未来ビジョン「志」の実現に向けて、学生、教職員がそれぞれの立場を超え、互いの尊重と協働のもと「オール金沢大学」で邁進しています。

 研究面では、統合創成研究環のもと、基礎研究、応用研究、社会実証研究を通じた「未来知による社会貢献」を加速する様々な取り組みを実施しています。令和12月に文部科学省「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択されました。これを受けて、角間キャンパス内に実証研究の拠点となる「未来知実証センター棟(仮称)」の建設を開始しました。令和6年度内に完成予定です。融合研究やスタートアップ(SU)創出、社会課題解決に向けた実証研究を推進し、産学連携やSU支援も強化します。また本学は、予測不可能な時代の社会変革を主導する「文理医融合による非連続的なイノベーションを起こす世界的拠点の形成」を掲げて、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」にも採択されました。さらに令和5年8月から本学が100%出資するベンチャーキャピタル「株式会社ビジョンインキュベイト」も運用を開始しています。関連して「Tech Startup HOKURIKU」が、北陸先端科学技術大学院大学とともに「スタートアップ・エコシステム共創プログラム地域プラットフォーム共創支援」に採択されました。先述の未来知実証センター棟(仮称)も拠点のひとつとして、グローバルな研究大学として研究力を向上し、社会に実装していくことで、さらなる社会貢献をしていきます。なおかつ、強みや特色ある研究力を核とした戦略的経営のもと、研究活動の国際展開や社会実装の加速・レベルアップの実現に必要な環境構築に積極的に取り組んでいきます。 

 教育面では、未来創成教育環のもと、初等教育から大学院まで一貫した教育・支援システムを推進しています。令和5年度「次世代科学技術チャレンジプログラム」(小中高型)に採択され、小中高校生・高専生を対象とした長期的かつシームレスな育成プログラムを提供しています。また、国・地域、産業界からのニーズに応え、令和年度から融合学域観光デザイン学類、スマート創成科学類および理工学域電子情報通信学類の入学定員を大幅に拡大しました。令和年度入学者選抜から、理工学域において女子枠特別入試を開始するなど、常に社会の変化を敏に捉えた入試改革を実施しています。また、令和7年度には融合学域に接続する新たな大学院を設置予定です。志高い学生がより多く博士課程進学を決意し、博士課程での研鑚を積むことを大いに期待しています。そのためにも、博士研究人材支援・研究力強化戦略プロジェクト(HaKaSe+)の取り組みも推進していきます。同時に、社会情勢の変化への対応や社会課題解決の一助となるよう、新たなスキルや知識の獲得、能力の向上を目指す社会人を対象に、分野や目的に応じたリスキリングプログラムも提供しています。

 経営面では、令和11月に文部科学省「国立大学経営改革促進事業」に採択されました。これにより、金沢大学が複数の世界的研究拠点を有するグローバルな研究大学というあるべき姿にむけて、人への投資、プロジェクトの推進を強力に進めていく基盤を構築してきました。あわせて、北陸経済連合会のコーディネートのもと、本学を含む北陸地区の4つの国立大学が共同で運営を行う「北陸未来共創フォーラム」を一層充実させます。本組織を通じて、産学官連携によるオープンイノベーションを加速させていきます。 

 新型コロナウイルス感染症の位置づけは5類感染症に移行し、新たな生活様式も生まれてきています。これまでコロナ禍の影響を受けていた学生の海外留学や海外からの留学生の受け入れなど、金沢大学と世界とのつながりも改めて回復・拡充しています。令和55月には、金沢大学角間キャンパスにおいて、G7富山・金沢教育大臣会合エクスカーションが行われました。G7各国の大臣、国際機関の代表者が本学を訪れ、学生、生徒、教員と直接対話する大変貴重な機会でした。そのような中、本学では揺るぎない未来ビジョン「志」のもと、社会の中核的リーダーたる「金沢大学ブランド人材」の育成を進めます。さらに、世界トップレベルの研究展開により、イノベーションを金沢大学から起こし、オール金沢大学で未来知による社会貢献を一層推進します。 

 今年度も引き続き、皆様から金沢大学へのご支援・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

令和6年4月1日

 

 

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