金沢大学融合研究域融合科学系の滕 瀟(とう しょう)特任助教は、自然科学研究科連携講座「空間計画学」の沈振江連携講座特任教授(兼 融合研究域・研究協力員)、自然科学研究科地球社会基盤学専攻博士後期課程の張雲天との共同研究により、ルールベースの記号的 AI 計算と VR 技術を融合した、次世代の建築エネルギー評価モデル「VEEM-ZEB」を開発しました。
本モデルにより、ゼロエネルギービル(ZEB)(※1)の設計段階において、タスク・アンビエント空調(TAAC)(※2)の省エネルギー効果と室内の熱快適性をリアルタイムに可視化・同時評価することが可能になりました。
世界的な脱炭素化の進展を背景に、建築部門のエネルギー削減は喫緊の課題です。国内でも 2030 年までに新築建物の ZEB 基準達成が目標とされていますが、設計段階で空調方式の導入効果を直感的に検証できるツールはこれまで十分に存在していませんでした。
本研究では、熱的快適性とエネルギー負荷を統合的に解析する独自の評価手法を構築し、VR 空間上で設計条件を動的に変更しながら「省エネルギー性」と「居住者の快適性」を同時に検証できる設計支援環境を実現しました。その結果、TAAC の導入により年間平均 7.62%の空調エネルギー削減効果が確認されました。
本手法により、設計者は建物完成前に最適な空調方式を選択できるようになり、脱炭素化と快適性を両立した建築設計の実現が期待されます。本研究成果は、次世代スマートビルの設計基盤として広範な応用が見込まれます。
本研究成果は、2025 年 11 月 15 日(英国時間)に、国際学術誌 『Sustainable Cities and Society』 に掲載されました。

図1:ゼロ・エネルギー・ビルにおけるタスク・アンビエント空調の設計段階エネルギー性能を可視化するデジタルツイン評価フレームワーク
【用語解説】
※1 ゼロエネルギービル(ZEB)
年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにすることを目指した建築物。
※2 タスク・アンビエント空調(TAAC)
作業エリア(タスク)と周辺空間(アンビエント)を分けて制御する空調方式。
ジャーナル名:Sustainable Cities and Society
研究者情報:滕 瀟
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