HaKaSe+(ハカセプラス)選抜学生として、研究に取り組みながら学生結婚という選択も経験した、医薬保健学総合研究科薬学専攻博士課程1年(取材当時)の村田陽香さん。博士課程の魅力や研究のやりがい、そして研究と生活の両立についてお聞きしました。(インタビュー動画は公式研究instagramでご覧いただけます。)
なぜ博士課程に進学されたのか、そのきっかけを教えてください。
高校生の頃、課外活動で「月のクレーター」について研究し、ポスター発表を行う機会がありました。そのときに「研究が楽しいかもしれない」と感じたのが最初のきっかけです。高校3年間があっという間に過ぎてしまったこともあり、もっと研究にじっくり取り組むには、博士課程への進学もいいなと意識するようになりました。ちなみに、中学生の頃、脳科学についての本『進化しすぎた脳』を読んで、「自分の脳ってそんなことをしているんだ!」と脳科学の面白さに衝撃を受けた記憶がずっと残っていて、今の研究分野につながっています。
現在、どのような研究をされているのですか?
ストレスによって麻薬や覚醒剤などの依存性薬物への欲求が強まる現象は、すでに知られています。私は、ストレスを受けたときに脳内でどんな神経回路が活性化し、どのような神経伝達物質が放出されるのかといったメカニズムに着目しています。そして、薬物依存症の治療薬となり得る標的を探ることを目的に研究しています。薬物依存症には、いまだ効果的な治療法や治療薬は確立されていません。神経薬理学的な視点からその仕組みにアプローチできるのがこの研究の面白さです。解明されたメカニズムが、アルコール依存やゲーム依存など、ほかの依存症にも活用できる可能性がある点にも魅力を感じています。

研究の楽しさや、やりがいはどんなところにありますか?
私は、主に、マウスを使った行動試験に取り組んでいます。薬物を摂取したときやストレスを負荷したときの神経活動をリアルタイムで測定したり、人工的に神経活動を活性化させてマウスの行動を評価したりしています。実験では、思い通りの結果が出ないとモチベーションが下がることもあります。それでも、結果の良し悪しに関わらず、自分が手がけた実験操作や新しく考えた実験計画を行い、その結果を確かめるのは楽しい瞬間です。
高校時代の課外活動と違って、大学院での研究では、自分で実験計画を考えたり、この先どう進めていくかの方向性を考えたりする機会も多くなり、論文を読む機会も圧倒的に増えました。新しい技術や知識の習得が求められる環境は刺激があって楽しい一方で、研究活動が生活の一部となり、仕事に近い感覚もあります。
研究室には、長期間に及ぶプロジェクトもあります。学士課程では期間の制約がありますが、博士課程まで見据えて所属していることで、より深く関われる点は大きな魅力です。進路を早めに定めることで、挑戦できる選択肢の幅も広がると思います。

博士課程進学後に学生結婚をされたそうですね。
夫とは薬学類の新入生歓迎会で出会い、その後サークルを通して親しくなり、数カ月前に結婚したばかりです。研究に忙しいなかで結婚生活とうまく両立できるのかと迷いや不安もありましたが、ちょうど私の周りにも学生結婚の経験者がいたことで、「こういう道もありなんだ」と前向きに考えられたことが大きかったですね。

最後に将来の夢を聞かせてください。
学位取得後は製薬会社で働きたいと考えています。近年、多くの製薬会社が神経難病や認知症などの研究開発に力を入れています。博士課程で取り組んできた中枢神経系研究を通して得られた技術や知識が、創薬研究の一助になればと考えています。

※所属・学年・年次などはすべて取材当時のものです。ご了承ください。
(ライター・木戸 珠代)