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金沢大学附属病院先端医療開発センターの上野恵子特任助教らの研究グループは、消防機関が担う病院前救急医療と地域の介護・福祉・保健分野との連携の実態を明らかにし、医療と社会的支援のニーズをつなぐ協働モデルを長期的に持続可能とするために必要な 6 つの実践策を提示しました。
超高齢社会の進行に伴い、地域で暮らす人々の健康課題や社会問題は複雑化しています。救急隊が担う病院前医療には、従来の救命・救急搬送に加え、社会的孤立や福祉サービスへのアクセス困難など、医療と地域での支援の橋渡しする役割が求められています。本研究では、消防本部(※1)と地域の介護(※2)・福祉(※3)・保健機関(※4)との連携の実態を明らかにするため、全国 20 消防本部の救急救命士 26 名を対象に半構造化インタビュー(※5)を実施しました。その結果、連携は救急対応の効率化や多職種間の相互理解の促進、救急車の適正利用などの効果をもたらす一方、連携・調整体制の曖昧さや関係機関の稼働体制の限界、情報共有に関する課題が明らかになりました。
また、持続可能な協働に向けて、相互理解の促進、非属人的な連携体制、情報共有基盤、多職種教育など 6 つの実践策が重要であることが示されました。本研究で得られた知見は、病院前医療と地域包括ケアを統合する新たな支援体制モデル構築への展開につながることが期待されます。
本研究成果は、2025 年 12 月 8 日に国際誌『Prehospital Emergency Care』のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図
【用語解説】
※1 消防本部
各自治体に設置された消防機関の中核的な組織のこと。火災対応だけでなく、救急搬送を含む救急業務も担い、消防署や救急隊を統括・指揮し、地域の安全と安心を守るために重要な役割を果たしている。
※2 介護機関
高齢者や障害がある人々に対して、日常生活の支援や介護サービスを提供する施設や組織のこと。具体的には、介護老人福祉施設や訪問介護事業所、デイサービスセンターなどが該当する。
※3 福祉機関
社会的に支援が必要な人々に対して、生活支援やサービスを提供する施設や団体のこと。具体的には、社会福祉協議会、子ども家庭支援センター、福祉事務所などが該当する。
※4 保健機関
地域住民の健康維持や疾病予防を目的として、医療や健康管理に関するサービスを提供する施設や組織のこと。具体的には、保健所や地域保健センター、自治体の保健部局などが該当する。
※5 半構造化インタビュー
あらかじめ準備した質問に沿って進めつつ、回答に応じて柔軟に深掘りする面接調査の方法。
ジャーナル名:Prehospital Emergency Care
研究者情報:上野 恵子
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