Students' Sparks

アルツハイマー病の治療実現に貢献したい

新学術創成研究科 ナノ生命科学専攻 博士後期課程3年
トラン ゴック トランTRAN NGOC TRANG

HaKaSe+(ハカセプラス)選抜学生として、博士学位の取得を目指して研究に励む、ベトナム出身のトランさん。博士後期課程に進んだ理由や研究のやりがい、そして将来への思いについてお話を伺いました。(インタビュー動画は公式研究instagramでご覧いただけます。)

現在、どのような研究をされているのですか?

 アルツハイマー病の発症に深く関わる要因の一つが「酸化ストレス」です。私は、その制御に関与するタンパク質「ヒトPrx2(ペルオキシレドキシン)」の機能と構造に着目して研究を行っています。高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を用いて、Prx2の構造が変化する様子をリアルタイムで観察しています。分子が実際に動くダイナミクスを直接捉えられる点が非常に刺激的です。

なぜ博士後期課程に進学されたのか、そのきっかけを教えてください。

 金沢大学に留学する前は、母国のベトナムの大学で生物学を学びました。その時に忘れられない出来事がありました。アルツハイマー病に苦しむ患者さんと出会い、家族や友人など、大切な人たちのことを徐々に忘れていく様子を目の当たりにしたのです。誰もが大切な思い出を失いたくありませんし、誰でも自分の存在を忘れられたくないものです。この経験をきっかけに、この世界に何か意義のある貢献をしたいとの強い思いを抱くようになりました。アルツハイマー病の分子メカニズムを理解し、将来の治療法開発につなぐ貢献をしたい。その気持ちが、私の研究の原動力です。博士号の取得は、その夢の実現のために欠かせない道だと感じました。

金沢大学を選んだ理由を教えてください。

 以前から日本に強い関心がありました。生命科学分野において、日本は質の高い研究と先進的な技術で高い評価を得ている国のひとつだからです。さまざまな大学を詳しく調べた中で、タンパク質の動態研究に不可欠な「高速原子間顕微鏡(高速AFM)」をはじめとした最先端の環境が整っている点で、金沢大学が際立っていました。自分のスキルを磨き、意義のある研究に取り組める場所だと確信しました。

 また、私が研究をしているナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)には、高度な研究設備だけでなく、分野の異なる研究者同士が自由に意見交換できる、開放的な研究環境があり、それが大きな魅力です。

金沢での思い出やお気に入りの場所などありますか?

 写真を撮ることが大好きです。だから、一日の研究活動が終わった後や休日などに、スマートフォンで大学や金沢のまちの風景をよく撮影しています。金沢大学のキャンパス内では、四季折々の美しい自然を眺めることができ、特に秋の紅葉の雰囲気が最高です。また、金沢にはフレンドリーな人が多く、金沢で過ごす時間を心から楽しんでいます。

最後に、将来の夢を聞かせてください。

 修了後は、日本の大学や研究所でポストドクターとして研究を続けたいと考えています。研究者として成長しながら、分子レベルのタンパク質ダイナミズムの解明に貢献していくことが目標です。

 そして、私にはもうひとつの大きな夢があります。母国ベトナムでもそうですが、ここ日本でも、学士号や修士号を取得した後に研究から離れてしまう若い学生が少なくないことに気づきました。研究は、特定の国や研究所だけのものではなく、グローバルに取り組むべきものです。多くの若者が「研究を続けたい」と思えるように、私自身がそのつなぎ役になれたら嬉しいです。将来的には、ここで得た専門知識や経験を活かし、日本とベトナムの研究者を結ぶ架け橋になりたいと考えています。

 いま、有名な研究者が多く集まるのは欧米の大きな研究拠点が中心ですが、日本やベトナム、そしてアジアも、世界のさまざまな国や地域が、研究者を惹きつける場所になることを願っています。

※所属・学年・年次などはすべて取材当時のものです。ご了承ください。

 

(ライター・木戸 珠代)

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