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金沢大学医薬保健研究域保健学系の市川勝弘教授、および医薬保健研究域保健学系/金沢大学附属病院整形外科の多田薫教授の研究グループは、従来のX線CT装置(※1)の約5倍の解像度(ボクセルサイズ:0.08~0.10 mm)を有する四肢専用の極超高解像度X線CT装置を開発することに成功しました。
臨床で一般的に用いられる X 線 CT 装置の解像度(※2)は 0.5 mm 程度であり、0.1~0.2 mm とされる骨の微細構造(骨梁、※3)を描出する能力は持ちません。そこで、本研究グループは、CT 装置のスキャン(※4)機構に含まれる、X 線装置、検出器、回転機構等に対する研究を重ね、四肢骨梁を明瞭に描出できるレベルまで最適化しました。その結果、ボクセル(3 次元データの構成単位)サイズを 0.08×0.08×0.08 mm3 まで、極小化することに成功しました。このような極小ボクセルの装置は、これまで人体に適用できない実験セットしかありませんでした。今回開発した装置は、四肢をごく短時間でスキャンでき、被検者への負担が非常に少ないにもかかわらず、骨の微細構造を鮮明に描出することが可能です。
本開発システムは、すでに臨床応用可能な構成まで完成しており、将来、手や足の骨疾患や外傷の正確な診断に活用されることが期待されます。
本研究成果は、2025 年 11 月 13 日に骨格放射線医学の専門誌『Skeletal Radiology』のオンライン版に掲載されました。

図1:四肢用極超高解像度X線CTの内部構成と前面パネル装着時の外観。
小型のX線装置、0.099 mmの検出器素子からなる高解像度X線検出器、およびそれらを固定したガントリ(架台)を回転させるコンピュータ制御の機構から構成されています。回転しながらX線を照射する一般的なCTスキャンを実施し、そのデータをコンピュータに送ることで0.08~0.10 mmの微小ボクセルからなる3次元画像データを生成します。

図2: 健常ボランティア2例の手部(手根骨部)のCT画像。
手根骨や手関節の各骨の内部の微細構造(骨梁)がほぼ全て分離されかつ明瞭に描出されています。前額面とは掌に平行な面ですが、この画像から、3次元方向の全てにおいて極超高解像度であることが見て取れます。

図3:0.25 mmの検出器を持つ近年臨床使用が可能となったCT装置との解像特性の比較。
グラフが右に行くほど、また上にあるほど、解像特性が優れていることを示します。開発した装置は、明らかに高解像度です。
図4: 本装置の開発と並行して開発した写実的3次元画像生成法による画像
生体のCT画像から、あたかも標本を取り出したかのような画像を生成可能です。極超高解像度の高精細データは非常に多くの画像枚数からなりますが、この画像を用いることで、詳細なデータを眼の前に置いて観察するように一望でき、必要に応じて裁断して内部の状況も確認できます。
【用語解説】
※1 X線CT装置
X 線を使用して、体の内部をコンピュータ計算によって画像化できる装置。通常のレントゲン撮影の X 線画像では内部の臓器などは全て重なってしまい、分離して見ることはできないが、CT 装置は、断面画像を生成することによりそれを可能とします。
※2 解像度
どれだけ小さなものまで分離して観察できるかの指標。0.1 mm とした場合は、0.1mmのサイズの小さなものが複数近接していても、それらが分離して認識できます。
※3 骨梁
骨の内部にある微細に入り組んだ構造を有する骨質の柱や梁のことで、家の梁のように骨を内側から支え強度を保つ重要な役割を持ちます。
※4 CT 装置のスキャン
人体に X 線を照射しながら、人体透過後の X 線強度を記録すること。
ジャーナル名:Skeletal Radiology
関連情報
金沢大学 医薬保健学域 保健学類・大学院医薬保健総合総合研究科 保健学専攻