シャヒドゥザマン モハマド/當摩 哲也さん 写真
Research NEWS

フレキシブルペロブスカイト太陽電池から鉛・金・インジウムを分離回収する技術を開発

ナノマテリアル研究所、准教授/ナノマテリアル研究所、教授
シャヒドゥザマン モハマド/當摩 哲也SHAHIDUZZAMAN, Md/TAIMA, Tetsuya

—-

 金沢大学自然科学研究科博士後期課程2年の矢澤兒海、金沢大学ナノマテリアル研究所のシャヒドゥザマン モハマド准教授、當摩哲也教授、ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)の前田勝浩教授、理工研究域物質化学系の長谷川浩教授らの研究グループは、フレキシブルペロブスカイト太陽電池に含まれる鉛および有価金属(金やインジウムなど)を、ワンステップで分離回収する技術の開発に成功しました。

 ペロブスカイト太陽電池は、軽量・柔軟かつ印刷技術による低コスト製造が可能な次世代型太陽電池として、脱炭素社会実現に向けた重要な技術として注目されています。本研究室では、これまで、社会実装に向けた大面積ペロブスカイトデバイスや大量生産技術の開発に取り組んでいます。しかし、ペロブスカイト太陽電池には、鉛などの高環境負荷材料や、金やインジウムなどの有価金属が用いられているため、社会実装後の大量廃棄による土壌汚染や金属価格高騰による高コスト化が懸念されています。

 そこで本研究では、封止されたフレキシブルペロブスカイト太陽電池(PSC)を低濃度の混酸で処理することで、デバイス中の金属を一度に溶出させ、その後、セルロース系吸着材(※1)(DMC-2)およびキレート樹脂(※2)を組み合わせることで、溶液中から金や鉛、インジウムを固相に回収する手法の開発に成功しました。さらに、硫酸を使用することで鉛を沈殿させ、インジウムとの分離にも成功しました。本研究成果は、劣化した実用デバイスにも適用可能であり、今後のペロブスカイト太陽電池の大規模普及に向けた循環型リサイクル技術として期待されます。

 本研究成果は、2026年5月20日に国際学術誌『ACS Sustainable Chemistry & Engineering』 のオンライン版に掲載されました。

 

図:ペロブスカイト太陽電池の分解・金属回収フロー
© 2026 Yazawa R. et al., Published by the American Chemical Society. Licensed under CC BY‑NC‑ND 4.0.

 

【用語解説】

※1 セルロース系吸着材
 植物繊維の主成分であるセルロースが持つヒドロキシ基を、別の置換基へと化学的に置き換えることで、金属を吸着する機能を付加した吸着材のこと。本研究では、金(Au)を効率よく回収するために、硫黄を含むジチオカルバメート基を導入した吸着材を使用しました。

※2 キレート樹脂
 金属と強力なキレート結合を形成する官能基を有し、溶液中から金属イオンを選択的に吸着する機能を持った高分子材料のこと。本研究では、イミノ二酢酸基を持つキレート樹脂を使用し、溶液中から鉛(Pb)、インジウム(In)を回収しました。

 

プレスリリースはこちら

ジャーナル名:ACS Sustainable Chemistry & Engineering

研究者情報:シャヒドゥザマン モハマド
當摩 哲也
前田 勝浩
長谷川 浩

関連情報

金沢大学 理工学域 物質化学類

金沢大学 大学院 自然科学研究科

金沢大学 ナノマテリアル研究所

金沢大学 ナノ生命科学研究所

 

FacebookPAGE TOP