フラボノイド生合成酵素の「影武者」カルコン異性化酵素類似タンパク質が陸上植物の生存戦略に果たす役割を解明

金沢大学理工研究域物質化学系の山下哲准教授と東北大学,東北メディカル・メガバンク機構,フィンランド・オーボアカデミ大学,国立国際医療研究センター研究所,理化学研究所,名城大学および基礎生物学研究所の共同研究グループは,フラボノイド(※)の生合成に関わる陸上植物に普遍的な代謝戦略を見いだしました。

フラボノイドは,約4億5000万年前の地球において植物が上陸したときに,陸上環境に適応するために生産するようになった化合物群です。フラボノイドは,現存の陸上植物においても環境変化への適応や生殖に欠かせないものとなっており,ヒトの健康に関わる食品成分としても注目されている。

本研究グループは,フラボノイドの生合成に関わる酵素の一つカルコンイソメラーゼ(CHI)と類似であるが酵素活性を持たないカルコン異性化酵素類似タンパク質(CHIL)が,フラボノイド合成の鍵酵素であるカルコン合成酵素の活性を矯正し,フラボノイド合成の効率を向上させる働きがあることを明らかにしました。さらに,CHILのこの働きが,コケ植物から被子植物に至る全ての陸上植物で普遍的であることを見いだしました。

本研究成果は,植物の陸上環境への適応のための代謝戦略や酵素の機能進化の理解に大きく貢献するとともに,フラボノイドを効率良く生産するための必須なツールとなることが期待されます。

本研究成果は,2020年2月13日(英国時間)に英国科学誌『Nature Communications』に掲載されました。


 

図. CHILの役割

CHILはフラボノイド生合成の初発酵素CHSに結合し,その生成物特異性のあいまいさを矯正することにより,フラボノイド生合成の効率を上げる。

 

 

【用語解説】
※ フラボノイド
人間の行動を支配する大脳そのものに観察される反応。

 

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Nature Communications

研究者情報:山下 哲

 

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