高精度で物体の3次元形状計測が可能なレーザー距離計を開発

金沢大学理工研究域フロンティア工学系の飯山宏一教授らの研究グループは,物体の3次元形状計測が可能な高精度レーザー距離計の開発に成功しました。

日本のモノづくりを支える工場などでは,自動組み立て装置や自動検査システムなど,コンピューターを使ったさまざまな製造・品質検査が実施されています。このようなコンピュータービジョンにおいては,対象となる物体の形状を即座に高解像度で計測できる機器が必要とされています。

本研究では,FMCW(※)技術を活用し,3マイクロメートルの高精度で,およそ30秒以内で,対象物体の3次元形状計測(プロファイリング)を行える新しい形状計測器を開発しました。この計測器は,高精度かつ短時間で計測できることに加え,高感度であるため測定対象の材料を選ばないこと,周囲の電磁波の影響を受けないため雑音の多い環境でも計測可能であることといった特徴を有しており,遠隔からの形状計測も可能にします。

今後は,自動車などの工業製品だけではなく,自動運転のための光レーダーや医療用の光断層診断装置にも応用されることが期待されます。

本研究成果は,2019年6月6日(米国東海岸標準時間)に国際学術誌『Journal of Lightwave Technology』のオンライン版に掲載されました。

 


 

図1. 3次元レーザー距離計の構成図

 

図2. 回路基板の形状計測の結果

スマートフォンで撮影した回路基板の画像(左)と,プロファイリングした結果(右)。集積回路やその周辺にある電子部品が明瞭に描写されていることが分かる。

 

 

図3. 100円玉のプロファイル結果

100円玉をプロファイルしたイメージ像(左)。「100」という刻印や年号が明瞭にプロファイリングされている。100円玉のプロファイルデータ(右)。100マイクロメートルほどの5つの山が100円玉の刻印に対応している。

 

 

【用語解説】
※ FMCW(Frequency-Modulated Continuous-Wave)
周波数変調した連続波のこと。本研究で開発された機器においては,レーザー光の周波数を時間的に連続掃引しており,その結果生じる送信光(参照光)と反射光の周波数差に基づいて対象物体の表面までの距離を測定する。レーザー光を上下左右にスキャンすることにより,物体の形状計測が可能になる。

 

Journal of Lightwave Technology

研究者情報:飯山 宏一

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