キラルな医薬品の合成に向けた新しい戦略~アルデヒドから高汎用性キラル種をつくりだす~

金沢大学医薬保健研究域薬学系の大宮寛久教授らの研究グループは,入手容易なアルデヒド(※1)から高汎用性キラル種(※2)を創成し,医薬品において重要な役割を担うキラル分子の選択的合成に成功しました。

アルデヒドから,高い汎用性をもつ“酸素隣接キラルカルボアニオン(※3)”を発生させ,これを一つのフラスコ内で連続的に次の反応に利用するプロセスを見いだしたことが成功の鍵といえます。従来の手法では,このキラルカルボアニオンは,反応を制御することが困難な金属試薬を用いた多段階プロセスによる事前調製が必要です。

本研究は,キラルな医薬品を選択的に合成するための新しい戦略を提供したといえ,医薬品や医薬品候補化合物の迅速な合成につながることが期待されます。

本研究成果は,2018年12月20日にアメリカ化学会誌『Journal of the American Chemical Society』のオンライン版に掲載されました。

 

 

 

図. 研究概要

 

 

 

【用語解説】
※1 アルデヒド
水素と結合した炭素と酸素の間に二重結合を持つ。天然などに見られ,容易に入手可能な有機化合物。

※2 キラル
右手と左手のように,ある物体が自らの鏡写しの像の形と異なり,重ね合わせることができない関係をキラリティーと呼び,キラリティーの関係にある分子をキラル分子という。キラル分子は,化学的・物理的性質は類似しているが,生体への機能は全く異なることが知られている。

※3 カルボアニオン
炭素上に負の電荷をもつ化学種。

 

詳しくはこちら

Journal of the American Chemical Society

・ 研究者情報:大宮 寛久

 

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