ゲノム倍数化が進化の可能性を高める
複雑なゲノムを持つ主要作物の分子育種へ向けた新規技術

ミヤマハタザオ(横浜市立大学 清水健太郎客員教授 撮影)

金沢大学学際科学実験センターの西山智明助教と,横浜市立大学木原生物学研究所,産業技術総合研究所,筑波大学およびチューリッヒ大学などとの共同研究において,複数の異なる染色体セット(ゲノム)を持つ異質倍数体種(※1)のゲノム変異を同定する新規解析技術が開発されました。また,この技術を利用した解析により,ゲノム倍数化して遺伝子数が増加することで,進化の可能性を広げるという,故 大野乾博士らによる50年来の理論的な予測を支持する結果を得ました。

セイヨウアブラナやコムギなどの主要な作物は,似て非なる複数の種由来のゲノムが組み合わさって,遺伝子数が二倍以上に増えた倍数体種ですが,増加した遺伝子同士の配列が非常に類似しているため,それらを区別して個体間の変異を解析することが困難でした。
今回の技術開発では,モデル倍数体植物である四倍体のミヤマハタザオ(学名:Arabidopsis kamchatica)を用い,どちらの親由来の配列であるのかを特定し,個体間のゲノム変異を検出できるプログラムの開発に成功しました。

この技術を作物に応用することで,育種のターゲットとなる有利な変異をゲノム情報から発見することが可能となり,より迅速で効率的な分子育種につながると期待されます。

本研究成果は,2018年9月25日(英国時間)に国際学術雑誌『Nature Communications』のオンライン版に掲載されました。

 

 

図.

モデル倍数体種ミヤマハタザオは,ハクサンハタザオのゲノムDNA(青色)とセイヨウミヤマハタザオのゲノムDNA(赤色)を併せ持つ四倍体の種である。本研究では,このように複雑な構成を持つ倍数体のゲノムの解析技術を開発した。

 

【用語解説】
※1 倍数体
ゲノム重複によって二組以上の染色体を持つ個体。

 

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Nature Communications

・ 研究者情報:西山 智明

 

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