雷雲に隠れた天然の加速器を雷が破壊する瞬間を捉えた -放射線・大気電場・電波による高エネルギー大気現象の観測-

金沢大学環日本海域環境研究センター松木篤准教授,理工研究域フロンティア工学系久保守助教らの研究グループは,東京大学,ロスアラモス国立研究所,京都大学,東京学芸大学,神戸市立工業高等専門学校,近畿大学,カリフォルニア大学および名古屋大学の研究グループとの国際共同研究で,雷雲中に発達した電場加速機構が雷放電によって破壊される様子を観測することに成功しました。

本研究では,本学能登学舎内に設置された能登大気観測スーパーサイトに放射線検出器と大気電場計を設置し,雷雲の通過と同期した1分ほど継続するガンマ線のバースト放射(※1)が,雷とともに途絶する様子を観測しました。この雷放電は富山湾に設置された長波帯 (LF) 電波受信機(※2)により観測され,バースト放射が途絶した瞬間に,放電路(※3)が放射線検出器の上空を通過したことが確認されました。これにより雷雲中に存在していた電子の加速機構が,雲中の放電によって直接的に破壊されたことが示されました。

これまでは異なる観測手法,分野で行われていた研究を横断し,「雷雲と雷の高エネルギー大気物理学」という新しい学術分野が学際的に展開されていくと期待できます。

本研究成果は,日本時間2018年5月17日,米国の学術誌『Geophysical Research Letters』のオンライン版に掲載されました。

 

雲からのガンマ線ビーム(左)とその放射源を破壊した雷放電(右)。能登半島の上空を雷雲が通過した際に,地上の放射線検出器が雷雲内の電子加速によって生成されたガンマ線放射を検知した。電子の加速機構は雷放電によって破壊され,ガンマ線放射とともに消滅した。

 

【用語解説】
※1 1分ほど継続するガンマ線のバースト放射
通常の環境放射線とは別に,一時的に増大するガンマ線放射のことで,雷雲に由来する。

※2 長波帯 (LF) 電波受信機
長波を中心とする広帯域 (800 Hz – 500 kHz) な波長に感度を持つ電波の受信機。

※3 放電路
雷放電が空を横切るその経路。

 

詳しくはこちら [PDF]

Geophysical Research Letters

研究者情報:松木 篤

研究者情報:久保 守

 

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