医薬品への新しい合成ルートを拓く ~2つの触媒のフラスコ内での協働に成功~

金沢大学医薬保健研究域薬学系の大宮寛久教授らの研究グループは,独立した機能を持つ2つの触媒を同時に活用することで,入手容易なアルデヒド(※1)から高い付加価値を持つケトン(※2)化合物をわずか1工程で合成することに成功しました(下図)。

従来の手法によってアルデヒドからケトンを合成するには,多段階かつ煩雑なプロセス,あるいは環境への負荷が大きい金属試薬などが必要です。本手法により,さまざまな化学構造を持つケトン化合物の合成が可能となりました。これまで困難とされてきた,遷移金属触媒(パラジウム(※3))と有機分子触媒(含窒素複素環カルベン(※4))が一つのフラスコ内で協働的に作用するシステムを合理的かつ精密にデザインしたことが成功の鍵といえます。本研究成果により,医薬品や医薬品候補化合物を入手容易な化学原料から大量かつ迅速に社会に供給していくことのできる,新しい合成ルートが拓かれました。

本研究成果は,2018年2月9日にドイツ化学会誌『Angewandte Chemie International Edition』のオンライン版に掲載されました。

 

図 研究概要

本研究グループは,パラジウム触媒と有機分子触媒が一つのフラスコ内で協働的に作用することで,アルデヒドとベンジル,あるいはアルデヒドとアリル炭酸エステルの反応が進行し,ケトンを合成できることを見いだしました。

 

【用語解説】
※1 アルデヒド
水素と結合した炭素と酸素の間に二重結合を持つ。天然などに見られ,容易に入手可能な有機化合物。


※2 ケトン
炭素と酸素の間に二重結合を持つ。身近な例として除光液として用いられるアセトンが挙げられる。


※3 パラジウム
原子番号46の元素(原子記号:Pd)。


※4 カルベン
炭素周りに6電子しか持たない二価化学種。
 

詳しくはこちら [PDF]

Angewandte Chemie International Edition

研究者情報:大宮 寛久

 

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