レモンバーム抽出物を用いた 認知症予防効果の検証を開始!

医薬保健研究域医学系脳老化・神経病態学(神経内科学) 山田正仁教授らの研究チームは,認知症予防のための介入試験「地域における主観的認知障害および軽度認知障害の高齢者を対象としたロスマリン酸含有レモンバーム抽出物の認知機能に対する有効性に関する検討」(能登ロスマリン酸認知症予防プロジェクト)を能登の七尾市周辺地域で,2016年7月から開始しました。

天然ハーブ等に含まれるポリフェノール類は抗酸化・抗炎症作用などを有することが知られていますが,山田教授らの研究チームは,こうした作用ばかりでなく,アルツハイマー病の脳に蓄積するアミロイド(※1)に対する凝集抑制作用(※2)に着目。数十種類ものポリフェノールをアルツハイマー病モデルマウスなどを用いて効果を比較し,ロスマリン酸が最も優れた効果を発揮したため,そのロスマリン酸を豊富に含むレモンバーム(※3)の抽出物の認知症に対する予防効果の検証を始めるに至りました。

ロスマリン酸含有ハーブ抽出物による認知症予防介入は世界初であり,本研究により高齢者の認知症予防効果を示すことができれば,安全で経済性が高い食品化合物による認知症予防法として確立することが期待されます。

 

※1 アルツハイマー病の脳に蓄積するアミロイド

アルツハイマー病の脳には,老人斑という特徴的な構造がみられます。老人斑の主成分がアミロイド〔アミロイドβタンパク(Aβ)〕です。下図は,アルツハイマー病脳にAβタンパク(茶色)が凝集し老人斑(矢印)として沈着した状態。

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※2 ロスマリン酸のアミロイド凝集抑制作用

アミロイド凝集とは,アミロイドβタンパク(Aβ)が多数寄り集まる現象です。アルツハイマー病の脳に蓄積するAβの凝集体には毒性があることが知られています。山田教授らの研究チームは,アルツハイマー病モデル動物や試験管内モデルにおいて,ポリフェノールの一種であるロスマリン酸がAβの凝集を抑制し,凝集体の毒性を軽減することなどを見い出しアルツハイマー病予防への道を開きました(Hamaguchi, et al. Am J Pathol 2009; Ono, et al. J Biol Chem 2011; Watanabe-Nakayama et al. Proc Natl Acad Sci USA 2016; 他)。

※3 レモンバーム

ポリフェノールの一種であるロスマリン酸を多く含む,シソ科のハーブ(A),その抽出物(B)をカプセルに入れたもの(C)を使用します。健常ボランティアに対する臨床試験で,その安全性等が示されています(Noguchi-Shinohara, et al. PLoS One 2015)。

(A) レモンバーム           (B) レモンバーム抽出物

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(C) ロスマリン酸含有レモンバーム抽出物カプセル

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研究者情報: 山田 正仁

 

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