骨が作られる仕組みを解明!

掲載日:2015-12-16
研究

医薬保健研究域薬学系の宝田剛志助教,檜井栄一准教授,米田幸雄本学名誉教授の研究グループは,骨を作る細胞(骨芽細胞)の起源となる間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell,以下MSC)を新たに同定し,そのMSCから骨芽細胞が作られる詳細な過程を明らかにしました。

MSCは,骨,軟骨,脂肪,筋肉などのさまざまな細胞へ分化する能力を持った幹細胞の一種で,骨髄や脂肪から比較的簡便に取り出して増やすことができることから,MSCを移植することによる,損傷あるいは機能不全に陥った組織の機能修復を図るといった臨床研究が盛んに行われています。しかし,生体内のMSCについては不明な点が多く,細胞生物学的な特徴づけがなされていないという問題がありました。今回の研究では間葉系幹細胞から骨芽細胞になる時に必要な「Runx2」というタンパク質に注目。本研究グループが以前から開発を行ってきた,特定の細胞,特定の時期でのRunx2の働きを生体個体レベルにおいて調べることのできる研究ツールを利用して,骨形成を担うMSCの細胞生物学的な特徴づけに,世界に先駆けて個体レベルで成功しました。

今回の研究で得られたこの特徴づけの情報は,移植再生医療において,MSCだけではなくiPS細胞・ES細胞を使用した際の適切な分化誘導技術を確立するための指標として重要であり,また,骨組織の修復をめざした移植再生医療や,骨粗しょう症といた病気の治療薬の開発に貢献できるものと期待されます。

本研究の成果は,12月10日に「Development」(英国科学誌)のオンライン版に掲載され,また,今後発行される同誌冊子体に掲載される予定です。

151216図
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