金沢大学古代文明・文化資源学研究所/医薬保健研究域附属サピエンス進化医学研究センターの覚張隆史准教授は、総合研究大学院大学の蔦谷匠助教を中心とした日本、台湾、デンマークの国際共同研究チームと共同で、台湾最古の人類化石の古代タンパク質配列を調べ、これが旧人の「デニソワ人」男性に由来することを明らかにし、Science 誌に報告しました。
「デニソワ人」は、2010 年にシベリアのデニソワ洞窟で見つかった骨や歯の断片から抽出された古代ゲノムによって、存在が示された旧人集団に対する仮称(ニックネーム)です。ネアンデルタール人とは異なる系統で、化石はシベリアとチベットでしか見つか
っていませんでした。姿や分布域は謎に包まれており、解明が進められています。
本国際共同研究において、覚張隆史准教授は、デニソワ人の古代 DNA 分析を担当しました。
本研究は、同時代に地球上に生息したネアンデルタール人や私たちホモ・サピエンスと比べて、デニソワ人の顎と歯がだいぶ頑丈でごついことも明らかにしました。本研究成果によって、謎に包まれていたデニソワ人の姿や分布がより明確になりました。
図1:澎湖 1 号の下顎⾻を右側⾯から写した写真。(撮影:東京⼤学・海部⽒)
図 2:研究成果をもとに想像したイメージイラスト。台湾の明るい太陽の下を頑丈なデニソワ⼈の
男性が歩いている。(作画:孫正涵 (Cheng-Han Sun) ⽒)
ジャーナル名:Science
研究者情報:覚張 隆史