世界初 新たなセンサを搭載した 電磁ノイズ可視化システムを開発!

掲載日:2023-9-21
研究

 

 

 金沢大学理工研究域電子情報通信学系の八木谷聡教授,パナソニック コネクト株式会社の共同研究グループは,世界初の新たなセンサを搭載した電磁ノイズ可視化システムを開発しました。

 近年 IoT(※1) 技術が加速する中,電子機器が取り扱う情報量が増加,またデータ通信の高速化に伴い,電子機器が発する不要な電磁ノイズの増大が課題となっていました。
 この課題に対し,プリント基板(※2)上に波長よりも十分に小さい金属パッチの周期構造(※3)を2次元平面状に形成し(メタサーフェス),プリント基板を上下2段にスタックすることで,2つの共振器を適切に結合させるスタック型メタサーフェス電波吸収体型のセンサを開発,広い周波数範囲の電磁ノイズを吸収できる性能とセンサの小型化の両立を可能としたノイズ可視化システムの開発を実現しました。
 
 この開発により,幅広い周波数(300 MHz~1.4 GHz)の電磁ノイズをリアルタイムに可視化し,迅速にノイズ発生源を探ることが可能となります。
 製品開発での適用はもちろん,工場の設備の電磁ノイズによるトラブルなどや,パワエレ設備,車載機器,医療機器などさまざまな現場で発生する課題への分析が容易となり,EMC(※4)分析技術の革新が期待できます。

 本研究成果は,2023 年 8 月 3 日に国際会議「IEEE(※5) EMC+SIPI 2023/2023 IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility, Signal & Power Integrity」,また 8 月 22 日と 24 日に国際会議「第 35 回国際電波科学連合総会/URSI (※6)GASS 2023/35th URSI General Assembly and Scientific Symposium」にて発表されました。

 

図 :学会で発表したそれぞれの研究内容の概要図

     

    電磁ノイズの可視化システム

     


    スタック型メタサーフェス電波吸収体

     

     

     

    【用語解説】

    ※1:IoT
     Internet Of Things の略。あらゆる「モノ」がインターネットでつながること。

    ※2:プリント基板
     電子部品を固定し、電気的な接続配線を行う絶縁性の板のこと。

    ※3:金属パッチの周期構造
     金属板の小片を周期的に配置した構造のこと

    ※4:EMC
     Electromagnetic compatibility の略。電子機器から放出する電磁ノイズを抑え、かつ周辺からの電磁ノイズの影響を受けずに動作すること。

    ※5:IEEE
     Institute of Electrical and Electronics Engineersの略。世界最大規模の電気・電子・情報工学分野の国際学会。(URL:https://www.ieee.org/)

    ※6:URSI
     International Union of Radio Scienceの略。電波、電気通信及び電子科学分野の国際学術団体。(URL:https://www.ursi.org/)

     

     

    プレスリリースはこちら

    研究者情報:八木谷 聡

     

     

     

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