12月7日,本学附属図書館は,生誕100年三島由紀夫シンポジウム「三島文学のこれから」を石川県立図書館研修室で実施し,学内外から107名が参加しました。20世紀日本文学を代表する作家の一人,三島由紀夫に関する研究の第一線で活躍する研究者を講師として迎え,多角的な視点からその人物と作品を再考しました。
三島由紀夫文学館長で近畿大学名誉教授の佐藤秀明氏は,「『美しい星』の宇宙人と金沢」と題して,金沢が舞台として登場する小説『美しい星』についての詳細な分析を切り口として,三島文学に通底する「前意味論的欲動(悲劇的なものに身をていしたいという三島本来の感覚)」がこの作品にどう託されているかについて述べられました。映画・比較文学研究家で元明治学院大学教授の四方田犬彦氏は,「三島由紀夫を見つめて半世紀」と題して,三島文学における『美しい星』を考察し,現代社会の抱える諸課題を考える上で重要な予言的な内容も含んでいることを指摘しました。
フリートークでは,杉山欣也附属図書館長の司会で,本学で日本文学を研究する2人の学生を交えて「100年後の三島文学」をテーマに,三島文学の持つエンタメ小説的側面,LGBTQ的視点,ギリシャ悲劇的なアプローチについて意見を交わしました。また,参加者からも国際化社会における日本文学の在り方についての質問が出され,熱心に聞き入っていました。
共催:石川県立図書館,人間社会研究域附属グローバル文化・社会研究センター
関連展示:金沢大学附属図書館 中央図書館「思考の森」企画展「生誕100年三島由紀夫のルーツを探る」
実施期間:2025年11月11日(火)~12月26日(金)中の開館日
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杉山欣也附属図書館長 -
三島由紀夫文学館長の佐藤氏 -
映画・比較文学研究家の四方田氏 -
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