有機固体電解質中のプロトン伝導メカニズムを解明 〜⾼効率な燃料電池の設計指針に〜

掲載日:2021-6-18
研究

金沢大学理工研究域物質化学系の井⽥朋智准教授,ナノマテリアル研究所の⽔野元博教授,筑波⼤学の共同研究グループは⽔分⼦を含まない無⽔プロトン伝導物質(※1)として,コハク酸とイミダゾールから成るプロトン伝導性有機結晶(コハク酸イミダゾリウム)を対象に,分⼦中のプロトンの位置や動きを可視化し,分⼦レベルでのプロトン伝導メカニズムを解明することに成功しました。

理論計算と実験を組み合わせ,結晶内のプロトン伝導が関わる「分⼦構造変化」,「分⼦運動」,「プロトン移動」の関係性を調べたところ,結晶内での整列された分⼦構造中で,イミダゾール分⼦の回転運動とイミダゾール‒コハク酸間のプロトン移動が連動することによって,結晶内で効率的にプロトンが輸送していく様⼦が明らかになりました。

今回の結果から,燃料電池の固体電解質材料として,⾼いプロトン伝導性を⽰す無⽔プロトン伝導物質を設計するためには,分⼦の回転運動やプロトン移動を効率的に引き起こす材料の探索が重要であることが⽰唆されました。

本研究成果は,2021年6月3日に米国の科学雑誌『The Journal of Physical Chemistry Letters』に掲載されました。

 

図1. コハク酸イミダゾリウム結晶中のプロトン伝導の様⼦

コハク酸イミダゾリウム結晶は,コハク酸分⼦とイミダゾール分⼦によって構成される。イミダゾール分⼦の回転によって作られる通路に沿ってプロトンが移動する。⾚は酸素,⻘が窒素,灰⾊が炭素,⽩が⽔素を表す。

 

図2. ポテンシャルエネルギーダイアグラム(グラフ部分)およびイミダゾール分⼦の回転とプロトン移動の関係

 

 

【用語解説】
※1 無⽔プロトン伝導物質
⽔分⼦を含まない,外部電場を印加したときにプロトンが⻑距離に伝導する物質。

 

 

詳しくはこちら

The Journal of Physical Chemistry Letters

研究者情報:井⽥ 朋智

研究者情報:⽔野元博

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