慢性炎症による大腸がん悪性化の仕組みを解明!

掲載日:2015-2-16
研究

がん進展制御研究所の大島正伸教授および佐藤博教授と,京都大学,キュリー研究所(フランス),東京医科歯科大学,慶応義塾大学の研究グループは,モデルマウスを用いた遺伝学的解析により,慢性炎症反応が誘導する大腸がん悪性化の仕組みについて明らかにしました。
従来から,がんは「遺伝子の病気」として研究が進められており,がんの浸潤・転移などの悪性化進展は,遺伝子変異の蓄積が原因であると考えられていました。今回,本研究グループは,浸潤性大腸がんを自然発生するモデルマウスを作成して解析し,浸潤がん組織で炎症反応が強く誘導されていることに着目。がん抑制経路であるTGF-βシグナルを抑制したマウスに潰瘍性大腸炎を誘発することで浸潤性大腸がんが発生することを観察し,がんの悪性化進展は,特定の遺伝子変異と慢性炎症の相互作用により誘導されることを世界で初めて明らかにしました。これによより,慢性炎症の制御によるがんの悪性化を制御できる可能性が示され,将来的にはがんの悪性化進展を予防する抗がん薬開発が期待されます。
本研究成果は,2月16日(米国東部時間)発行の米国癌学会学術雑誌「Cancer Research」に掲載され,また同時に同誌オンライン速報版に公開されました。

二種類のモデルの解析により,「慢性炎症反応」と「特定の遺伝子変異」の 相互作用が,大腸がんの悪性化を誘導することが明らかになりました。

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