幹細胞化する細胞が隣の細胞の幹細胞化を抑制することをコケ植物で発見

学際科学実験センター遺伝子研究施設の西山智明助教は,名古屋大学および基礎生物学研究所と共同で,コケ植物ヒメツリガネゴケの分化した葉から1つの細胞だけを取り出して培養すると,その細胞が90%以上の高頻度で直接幹細胞化し,植物個体を作り直す飛び抜けた再生能力があることを見いだしました。

その一方で,隣り合う2つの細胞を取り出して培養した場合には,2つの細胞のうち,片方の細胞だけが幹細胞化することが多く,両方の細胞が再生する頻度は低いことも分かりました。これは,先に幹細胞化した細胞が隣の細胞の幹細胞化を抑制していることを示しています。

今後,幹細胞化を抑制するシグナル物質の実体が明らかになることで,植物の通常の発生過程における幹細胞の機能の解明につながることが期待されます。また,幹細胞化の抑制を解明することは,多細胞体制進化の理解につながると期待されます。

本研究は,名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所の佐藤良勝特任講師,本学の西山智明助教,基礎生物学研究所/総合研究大学院大学の長谷部光泰教授の研究チームによる成果です。

本研究成果は,平成29年5月15日の日本時間午後6時に,英国国科学雑誌『Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)』に掲載されました。なお,本研究は,科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業ERATO,日本学術振興会科学研究費補助金,文部科学省最先端研究基盤事業植物科学最先端研究拠点ネットワークなどの支援のもと行われました。

 

 

図1 分化細胞1つからの幹細胞化の様子

コケ植物ヒメツリガネゴケは,葉の分化細胞1つからでも容易に再生し,個体を作り直すことができています。

 

 

図2 細胞間コミュニケーションによる幹細胞化の抑制に関するグラフ

1つの細胞を取り出した場合には,ほとんどの細胞が幹細胞化していますが,葉の葉脈に平行に隣り合う2つの細胞を取り出した場合,幹細胞化の割合が顕著に低下しています。

 

・ 詳しくはこちら [PDF]

・ Scientific Reports

・ 研究者情報: 西山 智明

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