Researcher’s Voice #6
山本 靖彦 教授
医薬保健研究域医学系

糖化反応の理解が老化研究と愛情研究を切り拓く

 

山本 靖彦 教授

◆所 属:医薬保健研究域医学系

◆専 門:医化学一般,病態医化学

血管分子生物学研究室

 

老化の分子メカニズム解明へ

老化は慢性的に蓄積する生体分子の化学修飾反応であり,生体分子すべてに傷害や損傷を与える「錆びや腐食」と捉えられます。生命活動に必須のエネルギー源であるブドウ糖などが,身体を構成するタンパク質・脂質・核酸などと非酵素的に反応し,最終産物である後期糖化産物(AGEs)の形成に至る糖化反応(グリケーション反応)は,老化に関わる修飾反応の代表であり,生命活動を行う限り避けては通れません。加齢関連疾患や老化現象の原因となるグリケーション反応が身体の中で生じるメカニズム,およびAGEsの受容体タンパク質「RAGE」の機能や役割を解明することは,抗加齢・抗老化の制御に結び付きます。

 

 

国内外に広がる分野横断的ネットワークで「不老長寿」に挑む

抗加齢・抗老化は,世界的に高齢化が進展する現代社会において喫緊の課題です。グリケーション研究は,人類にとって永遠のテーマ「不老長寿」に立ち向かう挑戦的なものであり,一分野の知見で成し得るものではありません。研究領域を超えてさまざまな研究手法を駆使するだけでなく,国内外に研究ネットワークを構築してこそ,一体的な研究を推進でき,世界に発信できる研究成果を創出できます。哺乳類のみが持つRAGEが社会性行動に重要な愛情ホルモン「オキシトシン」の機能発揮に重要な役割を担っていることを明らかにした研究成果(Communications Biology, 2019)も,分野横断的な研究から生まれました。

 

 

老化研究と愛情研究を両輪に,社会的課題の解決につながる研究を推進したい

グリケーション反応を解明し,その制御を可能とする薬剤や治療法を開発することで,健康寿命の延伸につながる「不老長寿」研究をさらに追及していきます。加えて,RAGEを切り口としてオキシトシンの機能発揮を司る分子メカニズムを明らかにし,育児放棄や虐待など少子化時代において深刻化する社会問題解決の一助になりたいと考えています。