Researcher’s Voice #4
尾崎 光紀 准教授
理工研究域電子情報通信学系

電磁波観測で宇宙の姿を読み解く

 

尾崎 光紀 准教授

◆所 属:理工研究域電子情報通信学系

◆専 門:計測工学,通信・ネットワーク工学

電波情報工学研究室

 

地球周辺の宇宙で発生する放射線から人工衛星を守る

地球周辺の宇宙には,電子とイオンで構成されるプラズマの揺らぎによって,自然電磁波が放射されています。高エネルギ-状態のプラズマは,生活を支える通信や放送,気象,測位などの人工衛星が飛び交う静止軌道までの宇宙空間において放射線となって存在し,人工衛星に搭載される電子回路の劣化や故障などを引き起こします。そのため,地球周辺の宇宙で発生する電磁波を通じて宇宙の放射線環境を明らかにすることは,人工衛星の安全な運用のために極めて重要です。

 

 

 

科学衛星と地上観測の協調で宇宙の電磁環境を観る

地球の磁力線に沿った電子のらせん運動に伴う電磁波「コーラス波動」が,地球周辺宇宙で発生するプラズマと共鳴することで,地球周辺宇宙空間の放射線が生じることが知られています。この現象は波動粒子相互作用と呼ばれ,プラズマの高エネルギーへの加速や散乱などが生じます。しかし,波動粒子相互作用発生域の形状や時間変化の詳細はこれまで明らかにされていませんでした。そこで,コーラス波動が高エネルギー電子を地球の大気中へ降下させる際に引き起こす特殊な突発発光オーロラに着目。科学衛星「あらせ」がコーラス波動を捉えたと同時に,極北8地点を結ぶ地上観測網PWINGで突発発光オーロラを観測することに成功し,コーラス波動とオーロラの明るさの形状変化が一致することを突き止めました。これにより,波動粒子相互作用発生域の形状変化が数十ミリ秒単位で地磁気的な南北方向に非対称に発達することを世界で初めて明らかにしました。

 

 

金沢大学独自の超小型衛星で宇宙産業のさらなる発展に

人工衛星を活用した宇宙産業の発展への貢献を目指し,科学衛星と地上観測拠点での観測・理論研究を一層進展させるとともに,金沢大学独自の超小型人工衛星の開発研究を加速していきます。