令和6年能登半島地震の災害の特徴について

 理工研究域地球社会基盤学系の小林俊一准教授は,奥能登地域の被災状況の視察を行いました。その結果、令和6年能登半島地震による災害の特徴が見えてきました。

 地震発生後,  小林准教授は土木学会会長特別調査団の団員として,これまで奥能登地域の被災状況を視察してきました。その結果,羽咋・七尾を結ぶ線よりも北部の地域で大きな被害が見られる傾向があることが分かりました。さらに,地盤災害を物理現象として捉えれば,程度の差はありますが,従来から知られている被害がやはり発生している印象を受けます。一方で,今回の地震の特徴として,同じ地域でそれなりの規模の地震が複数回発生していること,地震の規模が大きく地震動の継続時間も長かったことなど,物理現象としての被害を大きくしている要因がいくつか存在します。また地域の観点で見れば,複合災害の様相が色濃いこと,社会インフラシステムの観点で見れば,各種構造物の耐震性の違いや異種構造物の接合部の被害により道路機能が大幅に低下したことなどは,今回の災害で際立った特徴であるといえます。

 今後は,公益社団法人 地盤工学会 令和6年能登地震災害調査団 団長として,土木学会や建築学会と連携しながら地震被害状況を収集し,社会に向けた情報発信および災害調査報告書を取りまとめる予定です。さらに研究室としては,公益企業に協力を呼びかけ,広域にわたる地盤災害の分布状況を取りまとめる予定です。

 

 

写真 1:珠洲市鵜飼漁港付近の被災状況
(複合災害の様相:地震動による建物崩壊、地盤の液状化に伴うマンホール突出、津波漂流物)

写真 2:のと里山海道における道路損壊箇所

(沢埋め盛土の崩壊により路面逸失。道路脇の2期工事用地に仮設迂回路を建設し、何とか車を通行させている)

 

 

【研究者情報】
 理工研究域地球社会基盤学系 小林 俊一 准教授
 

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