金沢大学学術メディア創成センター/理工研究域先端宇宙理工学研究センターの笠原禎也教授は、九州大学国際宇宙惑星環境研究センターの尾花由紀特任准教授などの研究グループと共同で、巨大磁気嵐(※1)中に発生した地球近傍の宇宙空間(内部磁気圏)において酸素イオン(O+)(※2)が異常増加する現象を世界で初めて発見しました。これは 2024年 5 月に発生した巨大磁気嵐を、ニュージーランドを中心とした地上磁力計観測網と、ジオスペース探査衛星「あらせ」(※3)の観測データとを組み合わせて解析することで実現した成果であり、巨大磁気嵐が地球大気由来のO+を宇宙へ大量輸送する、新たなO+供給メカニズムが存在することを示唆しています。
これらの知見は、巨大磁気嵐時における地球周辺宇宙環境の理解を大きく前進させるとともに、人工衛星障害や高エネルギー粒子環境変動に関わる宇宙天気研究への貢献が期待されます。
本研究成果は、Springer Nature社刊行の国際学術誌『Earth, Planets and Space』に2026年5月23日(土)(現地時間)に掲載されました。

図:2024年5月の巨大磁気嵐(主相)(地球画像は気象庁提供)
【用語解説】
※1 磁気嵐
太陽面での爆発現象などによって太陽風が強まり、地球周辺の宇宙環境が大きく乱される現象。強い磁気嵐では低緯度オーロラが出現し、人工衛星障害や通信障害などを引き起こす場合がある。
※2 酸素イオン(O+)
地球超高層大気では、太陽紫外線などによって酸素原子が電離し、O+(酸素イオン)が生成される。水素イオンの16 倍の質量を持つ重いイオンであり、磁気圏内の波動や高エネルギー粒子環境に大きな影響を与える。
※3 ジオスペース探査衛星「あらせ」
JAXA が2016年に打ち上げた科学衛星。地球近傍宇宙空間におけるプラズマ、波動、高エネルギー粒子などを観測している。
ジャーナル名:Earth, Planets and Space
研究者情報:笠原 禎也
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