水野 元博/栗原 拓也さん 写真
Research NEWS

ぐるぐる回る分子の“向き”と“形”を制御した電気応答を実現 ―従来より高密度に情報記憶できる素子への応用に期待―

ナノマテリアル研究所、教授/理工研究域物質化学系、助教
水野 元博/栗原 拓也MIZUNO, Motohiro/KURIHARA, Takuya

【研究のポイント】

  • 固体と液体の中間の性質を持つ「柔粘性結晶(※1)」が、分子の向きと形の変化によるニ段階で電気応答することを発見しました。

  • 分子がランダムに回転すると考えられてきた柔粘性結晶で、協同的かつ二段階の電気応答を見出した初めての例であり、従来の強誘電体(※2)とは異なる新しいタイプの機能性材料と考えられます。

  • この現象を利用すると、従来の「0」「1」だけでなく、複数の情報(例えば「0」「1」「2」「3」)を記憶できる「多値メモリ」という次世代技術や、新しいタイプのセンサ・スイッチ開発への貢献が期待されます。

 

【概要】
 私たちの暮らしを支えるスマートフォンやコンピュータの性能向上には、同じ大きさの中により多くの情報を記憶できる新しい材料技術が求められています。

 金沢大学ナノマテリアル研究所の水野元博教授と理工研究域物質化学系の栗原拓也助教、東北大学多元物質科学研究所の小野寺希望大学院生(大学院工学研究科)と出倉駿助教および芥川智行教授らの共同研究グループは、固体のように形を保ちながら、内部の分子が液体のように回転する物質「柔粘性結晶」において、電気を加えることで分子の向きや形が変化し、その状態を保持できるユニークな電気応答現象を初めて捉えました。

 これは、分子の「向き」と「形」という二つのスイッチを電気で操作するようなもので、従来の記憶素子よりも多くの情報を扱える「多値メモリ」の実現に道を開くものです。この成果は、情報化社会のさらなる発展に貢献する基礎として期待されます。

 本研究の成果は米国現地時間の 2025 年 5 月 25 日、科学誌『Journal of the American Chemical Societyにてオンライン掲載されました。

 

柔粘性結晶のイメージ:トランス型からゴーシュ型に形を変えるスクシノニトリル

 

 

【用語解説】
※1 柔粘性結晶
 固体でありながら、構成する分子が結晶格子の中で比較的自由に回転運動できる、固液中間相の一つ。ワックス(ろう)のような柔らかさ(可塑性)を示すものが多いことから名付けられた。対照的に液晶は、液体のような流動性を持ちつつ、固体のように分子の向きが揃った状態であり、柔粘性結晶と対をなす中間相である。

※2 強誘電体
 外部電場がなくても自発的に分極を持ち、かつ外部電場によってその分極の向きを反転できる物質。不揮発性メモリなどに利用される。

 

プレスリリースはこちら

ジャーナル名:Journal of the American Chemical Society

研究者情報:水野 元博
      栗原 拓也

関連情報

金沢大学 理工学域 物質化学類:https://chemistry.w3.kanazawa-u.ac.jp/

金沢大学 大学院 自然科学研究科:https://www.nst.kanazawa-u.ac.jp/

 

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