平成31年 学長年頭あいさつ

皆さん,新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。この年末年始,毎日のように雪はちらつきましたが,比較的温暖な天候に恵まれました。皆様如何お過ごしでしたでしょうか?新しい年の年頭にあたり,ごあいさつを申し上げます。

私の学長職の第2期の任期もあと残すところ1年余りとなりました。昨年4月に策定した改革のためのビジョンと行動計画「新YAMAZAKIプラン2018」に沿った種々の教育改革や組織再編,研究力強化,国際化,先進医療と地域貢献,人事・ガバナンス改革など全ての項目において,金沢大学の新たな発展のための改革と挑戦を着実に進めねばなりません。

昨年を振り返ると,人間社会学域,理工学域における学類・コースの再編と北陸先端科学技術大学院大学との共同大学院の新設をはじめとする教育組織改革第1弾の実践,入試改革が着実に推進されました。関連して能登町との「人づくり・海づくり協定」に基づき,理工学域生命理工学類の教育研究のための能登キャンパス拠点の環境整備は本年3月完成を目指しております。

また,昨年より具体的な検討が開始された「Next Challenge―教育組織等改革構想~Roadmap to 2020~」については,医薬保健学域および改組を行っていない人間社会学域・理工学域の学類・コースにあっても,ビッグデータ,AI,数理データサイエンスをはじめとする今日的な社会課題に対応した,学類やコースの再編,教育プログラムの刷新に向けた第2弾の教育組織改革の具体的な計画を今年は確定させます。特に昨年10月以降に4回にわたって開催した教職員との意見交換会でその概要を公表した,イノベータ養成のための第4学域の構想については,その詳細の検討と概算要求に向けた諸準備を加速させます。また大学院の高度化では,新学術創成研究科に卓越大学院構想と連動させ,ナノ生命科学専攻(仮称)の設置に向けた準備を急がねばなりません。グローバルサイエンスキャンパス(GSC),ジュニアドクター育成塾などをベースにしながら特別入試の開発にも注力します。今年はいよいよそれら改革の具体的な実施に取り掛かり,教育改革,入試改革はその正念場を迎えます。着実な成果を生み出せるよう,教職員が一丸となって取り組まなければなりません。どうぞよろしくお願いいたします。

国際化,グローバル人材の育成では,スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)で実施する各種プロジェクトと,大学の世界展開力強化事業ロシアプログラム等により,着実な成果を見せつつあります。留学生数が700名に迫り,トビタテ留学!JAPAN日本代表プログラムやファーストステッププログラムをはじめ多くの留学派遣プログラムと奨学金による渡航支援により,海外留学を経験した学生数は急激に上昇しています。本年度もさらにその数を増やして参ります。信州大学と共同実施している留学生就職促進プログラムにも注力いたします。学生の就職活動では,従来からの経団連等の採用試験日程ルールの撤廃により,年中採用となります。大学教育現場にどんな具体的な問題が生じるのか,ふたを開けてみないと不明な要素も多く,就職支援でも新たな対応が迫られております。

次に研究力強化では,一昨年度採択された世界トップレベル研究拠点形成プログラム(WPI)のナノ生命科学研究所(NanoLSI)の研究体制,支援体制を軌道に乗せ,研究成果の創出に向けた主任研究者PIの皆さま方を中心とする本格的な研究所の活動が始動した年でした。詳細は不明ですが,平成31年度の施設整備予算でWPI新棟の建設が認められたとの一報が入っております。また平成30年度概算要求により認められた人的リソースを元に昨年8月にはナノマテリアル研究所を設置いたしました。規模こそまだまだ不十分ですが,研究課題の焦点を絞り,卓越したナノ材料科学分野の研究が大いに進展することを期待します。

一方,平成31年度には次世代先端製造技術研究所(仮称)の設置を計画しておりますが,さらなる研究力強化のため,その基盤となる新学術創成研究機構をはじめ各研究所や各研究センターなどを軸に,引続きリサーチプロフェッサー制度,コンカレントアポイントメント制度やテニュア・トラック制度を最大限に活用しながら,本学に優位性のある研究を更に強化する施策を継続し,異分野融合研究,新たな学問領域の創成,将来有望な若手研究者の育成を加速させます。教員業績評価の着実な実施と処遇への反映についても,新たに導入を迫られている新年俸制をベースに,働きがいのある研究環境と処遇実現に努めて参ります。

また,外部資金獲得では,科学研究費補助金は一昨年に引続き,昨年も採択件数,採択金額のいずれにおいても堅調な結果でした。中でも地域イノベーション・エコシステム形成プログラムへの石川県との共同申請による振動発電に関する研究が,戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に自動運転(システムとサービスの拡張)に関する研究が,それぞれ採択されたことは大変うれしく,そして誇らしい成果でした。

さて,既に一部は報道等で明らかになりつつありますが,第3期の前半3年間,一般運営費交付金をカットして積みあがった300億円と,今回あらたに700億円が切り出され,国立大学全体の運営費交付金約1兆円の10%相当が,来年度から導入される共通の指標KPIと各大学の戦略・施策の達成度の評価結果に応じて,来年度以降は措置されることとなります。昨年夏に申請した金沢大学の平成31年度概算要求では,本学が掲げる5つの重点戦略に沿った機能強化を実現するための諸要求をいたしましたが,機能強化に関する諸事業の評価結果とそれに基づく予算措置額がいまだ通達されておりませんので,最終的な次年度予算の全容が確定するには,もうしばらくかかりそうです。確定次第,大学改革推進委員会,教育研究評議会等を通してその詳細を明らかにして参りますが,獲得できた予算を最大限に活用して,本学が目指す戦略と施策を着実に実施して目標を達成し,さらに高い評価を得る好循環につなげていく必要があります。これらは,全ての教職員の皆さまの努力と英知を結集することでしか成し遂げられないものです。皆さんも覚悟を新たにし,共に取り組んでいただきたいと思います。

研究成果の社会実装と地域社会,国際社会への貢献では,引続き地域イノベーションエコシステムの構築に努めます。また産学官連携と地域連携活動を一体化した社会共創活動を推進する組織改編を急ぎ,共同研究など民間や地域自治体・諸団体からの研究開発資金導入を,政府が掲げる,現在の3倍以上に増やす目標を達成するため,あらゆる可能性を模索し,企業群等との新しい関係構築に努めて参ります。さらに研究支援体制の充実のため,URA組織の質的,量的拡大とIR機能強化を進めます。

また,地域貢献の重要な一翼を担う附属病院については,臨床研究を推進し,臨床研究中核病院の指定を目指します。地域医療を支える北陸地域の中核病院として今日以上のプレゼンスを発揮できるよう,診療科の再編を着実に進め,地域医療機関等との連携体制の強化を推進して参ります。

新たに迎えた平成31年は,本学にとってさらなる大きな飛躍を目指す基盤をさらに強固にすると同時に,取り組んできた挑戦,そして改革を,新たな軌道に乗せる総仕上げの開始年と位置付けます。今,大学が変わらねば,日本の再興,世界的な競争力の復活はありえません。この激動の時期を,皆さんの力を結集し,「皆が頑張る,地域に愛され,世界に輝く金沢大学」を教職員一人一人の努力で実現することこそが,この激動期を乗り越える原動力である,私はそう信じております。皆さん,今年も一年,共に頑張りましょう。

 

平成31年1月7日
金沢大学長 山崎 光悦

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