令和8年 学長年頭あいさつ

掲載日:2026-1-5
学長メッセージ

 

 皆さん,新年明けましておめでとうございます。新しい丙午(ひのえうま)の年頭にあたり,ご挨拶を申し上げます。丙午は,明るくパワフルな行動力のもと,新しい挑戦や発展につながる年とも解釈されております。60年前の丙午である1966年は高度経済成長期の最中でした。科学技術や産業が大きく成長していく中で,日本の人口が1億人を突破した年でもありました。本年も,皆さんのご健勝を祈念するとともに,金沢大学にとりましても,飛躍的な発展につながることを心より願っております。

 国内では物価高騰による経済活動の停滞懸念をはじめ,少子化・労働力不足,災害対策など克服すべき多くの課題があります。国際的にも経済・安全保障,人道危機など懸念が顕在化しております。さらに,地球温暖化に象徴されるように,ヒトを含むあらゆる生き物に求められる持続可能な地球環境は,今や大きな危機に直面しております。一方,AIやデジタル技術など科学技術が目覚ましい進歩を遂げています。これらの活用も一助として,本年が様々な課題の克服につながること,希望に満ち溢れた安寧の年になることを心より祈っております。明るい話題として,昨年,二人の日本人研究者がノーベル賞を受賞されました。この受賞は,日々研究に打ち込んでいる研究者や学生にとって,大きな励みとなります。本学としても,今後も教職員や学生が,果敢に挑戦できる環境づくりに一層注力して参ります。

 新年を迎え,令和6年能登半島地震から2年となりました。被災された方々が一日も早く元の生活に戻られ,被災地が復興・再建を遂げることをご祈念申し上げます。本学では,能登地域の復旧・復興・再建にむけて,「地震・災害に強く安全・安心で,だれもが住みよい,文化薫る地域・まちづくりとひとづくり」という理念を掲げております。この理念のもと設立された「能登里山里海未来創造センター」が中心となり,アカデミアとしてできることを考え続けております。能登が有している本質的な価値を守りながら,そこに新たな価値を見出していきたいと考えております。さらに,国ならびに自治体のご支援もあり,能登半島にある本学の施設では日常に戻る準備が進んでおります。これまでの皆さんの貢献に感謝申し上げます。今後も,金沢大学は能登地域の復旧・復興・再建に尽力し,改めて防災,減災,安全管理の意識を高める一年にしたいと思います。

 金沢大学が立脚する基本理念は「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」です。この基本理念のもと,揺るぎない未来ビジョン「志」を策定しております。我々のビジョンは,まさに,「オール金沢大学で『未来知』により社会に貢献する」ことです。金沢大学は未来知による新たな価値を創出し続ける大学でありたいと願っております。さらに,世界的研究拠点群の拡充こそ研究力強化の要です。そのためにも,基礎研究・融合研究の高度化,社会実装の加速化が重要です。実際,統合創成研究環のもと,基礎研究を究め,文理医の異分野融合研究を推進しております。その中でもJ-PEAKSの取組を強力に進めて参りました。これまでの延長線上にない非連続なイノベーションを起こす世界的拠点の形成が目指すべき姿です。全学をあげて基礎研究や融合研究の強化,社会実装にむけた実証研究の推進が本格化しております。企業との共創が進んでいるBGICに加え,「未来知実証センター」も実証研究を推進するエンジンです。北陸地域のスタートアップ創出プラットフォーム「TeSH」,ベンチャーキャピタル「ビジョンインキュベイト」も活発に活動しております。今後も皆さんとともに研究大学として邁進し,プロジェクトの推進に力強く取り組んで参ります。

 教育においては,大学憲章で示されている自学自習を基本とし,未来創成教育環のもと,学修者本位の教育を一層充実させております。金沢大学で学んでよかったと思える大学であり続けることは重要です。本年は観光デザイン学類からはじめての卒業生を送り出します。さらに,大学院改革は「志」の最重要ミッションの一つです。昨年9月には「未来を先導する世界トップレベル大学院教育拠点創出事業」に採択されました。徹底した産学連携,徹底した国際化を基盤とした大学院教育を一層発展させていきます。大学院でのそれぞれの専門領域を積み上げていくことの重要性は論を俟ちません。加えて,知識の蓄積のみならず,本質を理解して実践し,知恵につなげることも重要です。まさに格物致知です。博士の学位取得後に本学でPromising researcherとして研究を継続できる研究者も増えております。さらに,STELLAプログラムも充実させ,大学入学前から研究者として独立するまでの一貫した教育モデルを拡充してきました。学生諸君には志高く,学び,研究することのワクワク感,面白さを感じながら,人間力を高めて大きく飛躍してほしいと願っております。

 金沢大学が目指すキャンパスは「国際が日常にある,日常が国際である」ことです。まさに,国際社会の一員として,日常から社会課題を自分ごととして捉え,問い,考え,その克服に向けて行動し続ける必要があります。いかなる状況下でも明るさにつながる未来の新たな価値を創造する試みを続けていくことが求められます。そのためにも,多文化を理解する学びと寛容,共生する姿勢が重要です。このようなグローバル研究大学としてダイバーシティ環境の整備はなおざりにできない課題です。金沢大学ダイバーシティ推進機構とともにすべての構成員が相互に尊重し合える環境の構築と運営に努めております。さらに,国際化の一層の推進も必須です。大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業,大学の世界展開力強化事業はその推進の原動力となるものです。未来知による社会貢献,すなわち国際社会において未来の新たな価値を創造し続ける大学として発展して参ります。

 第4期中期目標期間も残すところ2年となり,2028年度から始まる第5期中期目標期間にむけた準備も進んでおります。本年4月より第7期科学技術・イノベーション基本計画もスタートします。皆さんと対話,協調しながら,オール金沢大学体制で金沢大学の一層の発展にむけて様々な取り組みを推進して参ります。多様なステークホルダーとも相互理解・信頼を築くことは必須です。学生,教職員の立場に配慮し,改革と挑戦を加速しつつ,着実に進めていきたいと考えます。良いチーム作りも進んできております。皆さんのご理解とご協力に深く感謝を申し上げます。令和8年度政府予算案が昨年末に閣議決定されました。骨太方針2025でも,はじめて物価高,運営費交付金,大学病院という言葉が記載され,それを反映した予算が考慮されております。政府からの予算措置に加え,外部資金の獲得強化,資金運用の高度化などを通じて時代に即した財政構造改革を継続して行います。それにより,人・知・社会の好循環を作り出す持続可能で自律的な運営・経営を目指します。

 2026年の年頭にあたり,気持ちを新たに,基本理念のもと未来ビジョン「志」の達成に邁進していく所存です。私は人こそが財産,宝であるとの信念をもっております。「人が輝く金沢大学」,「世界に輝く金沢大学」を一人一人の努力で実現することこそが重要です。そのためにも,皆さんのご理解とご協力が不可欠です。和衷協同で皆さんとともに築く飛躍的な発展,国内外の社会への貢献にむけ,引き続き「オール金沢大学」で取り組みます。皆さん,どうぞ本年も宜しくお願いいたします。

令和8年1月5日
金沢大学長 和田 隆志

 

FacebookPAGE TOP