平成22年 学長年頭あいさつ

掲載日:2010-1-4
学長メッセージ

新年おめでとうございます。私は正月になりますと,吉田兼好の有名な正月を描いた文,「かくて明けゆく空のけしき,きのうにかわりたりとは見えねど,ひきかへめずらしきここちぞする」が思い浮かび,確かに新年という感じがして,そこから新しい決意が湧き出てくるのです。皆さんは,いかがでしょうか。今年は干支で申しますと庚寅の歳であります。解字から思うに,「認識・思考・価値観が大転換し,パラダイム・シフトが今まさに始まる年」ということができるでしょうか。

先ず,嬉しいニュースをお伝えします。事業仕分けで廃止になりました産学官連携戦略展開事業は,知的クラスター創成事業及び都市エリア産学官連携促進事業と合わせて,平成22年度から「イノベーション・システム整備事業」として一本化し,補助金化した上で,これまでの継続事業については,事業が終了するまで支援を継続していくことが昨年末に閣議で決定されました。本学としては数億円規模の産学官連携事業を平成22年度も続けることができることになります。

さて,20世紀型工業文明は転換期を迎え,我々の世界観のもととなる認識,思考そして価値観が大きく転換しつつあります。昨年,「事業仕分け」により大学関係の基盤的経費,競争的経費等の削減や見直しが提案され,関連して国大協等様々な機関・団体が声明文の提出や要望活動を行いました。今,求められていることは教職員一人ひとりが,大学と社会の関わり,学問と社会の関わり,科学技術と社会の関わりを自分の問題として認識し行動することでありましょう。

本年4月から第2期中期目標・計画期間が始まります。この期間においては「各法人の一層の個性化」が求められております。目標・計画の達成には,未来に可能性があることを信じ,未来の可能性を探る知力を総動員することが肝要でありましょう。大学の基盤は人にあります。全ての教職員の参加はもちろんのことでありますが,その能力を最大限に発揮できるよう環境を整備することもまた,大切なことであり,これに向かって努力していく所存です。

我が大学は「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」,「東アジアの地の拠点」を基軸として国際化を進めております。昨年には,留学生増対策として特別枠を設け,本年4月には150名増の500名の留学生を目指しています。また,恒常的な留学生増として昨年末に,ベトナム文部科学省並びにベトナムの上位20大学と大学間協定を締結し,大学教員養成を目的として年間20~30名の優秀な留学生を引き受けることになりました。皆さんにはご負担をかけることになりますが,ご協力を宜しくお願い致します。

学域学類制は3年目に入ります。「教育重視」の大学として,教育における教職員と学生との相互協力の重要性に思いを致し,また,学生のあるべき姿をも教育することにより,次世代の社会を担う有為な人材の育成に力を尽くして頂きたく存じます。

地域に根ざす大学として,石川県,金沢市,輪島市,珠洲市,穴水町,能登町等との協定に基づいた地域との連携を進めると共に,北陸4国立大学,石川県立大学,金沢美術工芸大学等の高等教育・学術機関との連携を強化し,ネットワーク化を進めていきたいと思っています。また,附属病院は「日本の医療の要は大学である」との基本認識のもと,金沢大学方式ともいえる地域医療の在り方を金沢から発信し,リサーチ・マインド豊かな良医の育成に励んで頂きたく存じます。

施設について少しお話させて頂きます。「がん研究所」がこの2月に竣工し,5月17日に開所式が行われます。また,外部事業者により3月末日には附属病院敷地内に金沢先進医学センターが竣工する予定であります。

私は,学長就任にあたり,金沢大学の目指す姿として,「我が国ベスト10大学を目指すこと」を掲げました。「目標に向けて,自分達の大学は自分達で造る」との気概をもって,全ての教職員が互いに尊敬し,教育,学問,科学に,共に歩みを進めようではありませんか。

平成22年1月4日

金沢大学長 中村 信一

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