ジャン・ムーラン・リヨン第三大学
2022年度 ヨーロッパ〈フランス〉
A.H.(人間社会学域国際学類 4年)
私はフランスのリヨン第三大学に2022年9月から2023年1月まで留学しました。当初は大学3年生の年に留学しようと考えていたのですが、コロナが流行っていたため留学先で納得のいく活動ができないのではないかと考え、大学4年生の年である2022年に留学しました。大学4年生は就職活動や卒論の執筆があり、これらを留学と並行して行うのは大変なのではないかと心配でしたが、無事に終えることができました。
留学前は留学先の大学から住居や授業に関するメールがたくさん届きます。それらのメールはもちろん外国語で書かれているので、内容を理解して様々な手続きをするのはとてもストレスでした。分からないことがあって、留学先の担当者にメールを送ってもなかなか返信がなかったためずっと不安になっていました。特に私はそれまで海外に行った経験がなかったため本当に何も分からない状態だったので、不安だけが募り精神的にとても辛かったことを覚えています。そんな留学前の自分を振り返ると、あんなに思い詰める必要はなかったなと思います。やらなくてはいけないことが多く大変ではありますが、メールの内容をしっかり確認して、先方からのメールの返信が遅くてもあまり神経質にならずに待てればいいなと思います。言語に関してはもっとリスニングを強化してから行くべきだったなと感じました。相手の話している内容が分からないと会話を続けることができないため、まずは何よりもリスニングに力を入れる必要があると思いました。
リヨンはとても綺麗な街で本当に飽きませんでした。地下鉄やトラム、バスなど公共交通機関も整っており、とても住みやすいです。しかし、私が住んでいたGuillotièreという場所はリヨンの中でも治安の悪い場所でした。Guillotièreの大きな交差点には常に警察官が銃を持って歩いています。フランスの友人も危険なのであまり近づかないと話していました。また、大学への行帰りの途中にも「ボンジュール」や「ニーハオ」などと頻繁に話しかけられました。Guillotièreに行く際は特にスリなどに注意して、特に夜は避けた方が良いと思います。
留学中はもちろん勉強も大切ですが、外国やフランス各地に出かけることも大切にしていました。せっかくヨーロッパにいるんだからという理由もありますが、それまでテレビや本でしか見たことのなかった場所や芸術作品、食べ物を自分自身が経験したいと強く思っていたからです。有名なところで言うと、モン・サン・ミッシェルやルーブル美術館、サグラダファミリア、トレビの泉などの観光名所にも行きました。フランスの都市ではコルマール、ストラスブール、ニース、マルセイユ、グルノーブル、リヨンから2時間で行けるスイスのジュネーブにも行きました。旅先できれいな景色を見たり、美味しいものを食べたりするとフランスに来られて本当に良かったと思いました。リヨンでの生活も本当に楽しくて新鮮なことだらけで充実した時間を過ごすことができましたが、近隣の都市に出掛けたり外国にも足を延ばしたりしたことで留学の思い出がより鮮やかになったと思っています。
私は留学中に地下鉄でスマホをひったくられました。ひったくられた瞬間は本当に頭が真っ白になり、危険を顧みずに犯人を追いかけました。留学先でスマホがないということを想像するととても心細かったことを覚えています。そのまま警察を呼んで、パトカーに乗って警察署に行って書類を書きました。そのとき私はパニックになってしまったので一緒にいたフランス人の友達が警察に連絡してくれたり、警察との難しい話を代わりにしてくれたりしました。また、一番親しかったフランス人の友達も駆けつけてくれ、スマホも貸してくれました。その後も日本人の友達が一緒にアップルストアやFreeに行ってくれました。スマホを盗まれたことは今でも本当にショックで時間を巻き戻せるならそうしたいぐらいですが、周りの友達がたくさん助けてくれたおかげで乗り越えることができましたし、私自身精神的に強くなれた気がします。困ったことがあれば一人でどうにかしようとせず、積極的に周りの人の力を借りることが大切だということが分かりました。周りも自分が思っている以上に優しくて親身だということも分かりました。
卒業後は留学前の就職活動で決まっていた企業に就職します。社会人として働くのは不安しかないですが、留学中の死ぬほど緊張したフランス語でのプレゼンテーションより緊張するものはないと思って頑張りたいと思っています。日本語が通じることありがたさを知ったので何事にも臆さず挑戦していきたいです。
留学してよかったことは、ありきたりですが自分の世界が広がったことです。フランスで暮らして、外国にも行ったことでそれまではとても遠くに感じていた場所を今では身近に感じることができます。留学でフランスに行くまで海外に行ったことがなかった私にとって外国が身近になったのは大きな変化だと思います。また、留学中にいくつかの美術館に行ったことでさらに絵に興味を持つことができ、日本に帰ってから本などで美術の勉強をするようになりました。そして、海外に行くにはやはり英語が必要だということを痛感し、ドラマなどで英語の勉強もするようになりました。自分の興味のある分野をさらに深めたり、今後に自分のためになる努力をするようになったのは留学のおかげだと思っています。
留学するかを迷っているときや、留学が決まった後も不安はつきものだと思います。私自身、留学前は不安が大きく、辞めてしまおうかと考えたこともありました。もちろん留学中も大変なことがありましたが、それ以上に特別な体験をすることができました。留学前の不安は留学してしまえば解消されます。そして留学中にできた友達や貴重な思い出は一生ものです。留学するか迷っている人は思い切って挑戦してほしいなと思います。