Students' Sparks

“医療に貢献したい” その想いが私を動かす

新学術創成研究科 ナノ生命科学専攻 博士後期課程2年
鈴木 大晴SUZUKI, Taisei

HaKaSe+(ハカセプラス)選抜学生として、博士学位の取得を目指して研究に励む、新学術創成研究科ナノ生命科学専攻(研究当時)の鈴木 大晴さんに、博士課程の魅力や研究のやりがいについてお聞きしました。

まず、博士後期課程進学のきっかけを教えてください。

 博士前期課程在学中に履修した「生命科学」の授業がきっかけです。私は、博士前期課程では宇宙物理学を専攻していました。当時、金沢大学では小型人工衛星のプロジェクトが進行していて、そのプロジェクトに参加したかったからです。人工衛星の開発はとてもやりがいがあり、貴重な経験でした。ですが、博士前期課程の時に受けた生命科学の講義は大変興味深く、この授業がきっかけで幼少期の「生物への興味」が再び強くなったのです。幼少期、私は病気がちだったため、自分の体の中で起きている現象に対して常に疑問を持っていました。そのため、人工衛星の研究を行っていた間も、生命現象への興味と医療の発展に貢献したいという気持ちはずっと抱いていました。「今こそ人生の方向性を変えるチャンスだ」と感じ、博士後期課程への進学と、生命科学の世界へと飛び込むことを決意しました。金沢大学には世界トップレベル研究拠点プログラム・ナノ生命科学研究所(WPI-NanoLSI)があり、そこではナノ計測学、が進められています。私は、専攻を宇宙物理学から生物物理学へと変更し、今はHaKaSe選抜学生としてWPI-NanoLSIで博士後期課程の研究に取り組んでいます。

HaKaSe+ではどのような支援が受けられますか?

  研究分野を変更して博士後期課程に進学した私にとって、HaKaSe+の支援は研究に集中できる時間を確保できる大きな助けとなっています。HaKaSe+のおかげで研究に没頭できる環境が整い、国際学会で発表する機会も得ることもがきました。また、HaKaSe+では博士人材の多様なキャリアパスを描くためのさまざまな企画が実施されています。アカデミアに限らず、産業界で活躍する博士人材の姿や博士課程の学生による就職活動の実例など、キャリア形成に役立つ情報を得ることができ、自身の将来について深く考えるきっかけになっています。

現在の研究内容について教えてください。

  私が現在取り組んでいるテーマは脳の記憶形成に重要なタンパク質(CaMKII;カルシウムカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼII)の観察と機能の解明です。この研究に不可欠なツールがWPI-NanoLSIが世界に誇る、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)です。高速AFMは、溶液の中で動いているタンパク質をナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の精度で、動画として観察することができます。記憶に関わるタンパク質を直接観察することで、脳のなかで「記憶がどのように形成されるのか」を分子レベルで明らかにすることが私の目標です。

博士後期課程の研究で身についたスキルについて教えてください。

  「大変なことの先に成長がある」ということを学びました。例えば、学外の研究所へ数週間、タンパク質精製技術を学びに行ったことがあります。すべてが初めての経験で、はじめはかなり苦労しました。しかし、丁寧に指導してくださった先生のおかげで、少しずつ上達し、自分の研究室にその技術を持ち帰ることができました。この技術の修得により論文の質や研究の幅も広がったと思います。また、積極的に挑戦することの重要性も学びました。

 博士後期課程の3年間では研究に取り組める時間も制限されています。限られた時間の中で優先順位をつけ、効率的な研究計画を立てること、また、適度な休息や自己管理にも意識を持つようになりました。

研究の息抜きはどのようにされていますか?

  大学まで続けていた野球が一番の息抜きです。草野球やランニング、筋トレなど、体を動かすことで、息抜きと健康維持を兼ねています。研究でも運動でも単調作業が続くと、どうしても考え方が硬直してしまうので、意識的に違った運動をするようにしています。柔軟な思考は、研究にも役立つと思いますので、今後も新しいスポーツに挑戦したいです。

最後に将来の夢を聞かせてください。

  私が研究の道を選んだのは、「病気に苦しむ人々の助けになりたい」という思いが原点にあります。その気持ちは今も変わらず、将来もその思いを実現できるような活動を続けていきたいと考えています。博士後期課程で取り組んでいる研究は、まさにその夢を叶えるためのスタートラインです。これからも、医療の発展や社会が抱える課題、そして自分にできることを見つめながら、医療に貢献できる道を探し続けたいと思っています。

 

所属・学年・年次などはすべて取材当時のものです。ご了承ください。

 

(サイエンスライター・見寺 祐子)

 

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