平成29年 学長年頭あいさつ

皆さん,新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。新しい年の年頭にあたり,一言ごあいさつを申し上げます。

私の学長職の任期は,早いもので,この3月で後1年を残すのみとなります。就任時に皆さんのお考え,知恵も頂戴しながら策定した,金沢大学の改革のためのビジョンと計画「YAMAZAKIプラン2014」も,教育改革,研究力強化,国際化,先進医療と地域貢献,人事・ガバナンス改革など,全ての項目において,それらの改革は一定の進捗をみたため,昨年6月には改めて「YAMAZAKIプラン2016」を策定し,新たな気持ちで再スタートを切りました。

昨年は,改革の象徴とも言える国際基幹教育院の設置をはじめ,先進予防医学研究科,教職実践研究科をスタートさせ,また北陸先端科学技術大学院大学との共同大学院の平成30年度設置に向けた申請の最終の調整段階に到達するなど,教育改革が着実に進められました。特に国際基幹教育院では,現在第4クォーターが進行中のGS科目全てにおいて,KUGSを育む教育成果を生み出す一通りの基礎固めはできたものの,教育システムとしての成熟度を上げ,かつアクティブラーニング(AL)の内容やテキストの完成度をさらに上げ,質の向上を図る必要があります。金沢大学ブランドの確立に向け,関係の皆様のさらなるご努力をお願いいたします。

また研究力強化では,超然・先魁プロジェクトで選定した全ての取り組み課題において一定の成果を上げ,特に超分子化学分野の招へい型リサーチプロフェッサーとしてお迎えしたフランス,ストラスブール大学名誉教授のジャン=ピエール・ソバージュ先生が昨年のノーベル化学賞を受賞されるという我が大学にとっても嬉しい出来事もありました。新学術創成研究機構では,昨年度の概算要求の成果に基づき4つのユニットを追加し,研究部門は合計で16ユニットと拡大しました。科研費では,昨年採択件数,採択金額のいずれにおいても過去最高の採択結果を記録したことも嬉しい成果でした。さらに,国際化,グローバル人材の育成では,スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)で実施する各種プロジェクトにより,ELP教員研修をはじめ,着実な成果を見せつつあります。

地域連携・社会連携では,まずCOC+事業において,石川の魅力を伝える必修科目「地域概論」の本格実施や「いしかわ学生定着推進協議会」の設置による地元インターンシップの実施など,県内自治体および高等教育機関との連携により,若者の地元定着を促進する取り組みを着実に推進しつつあります。また,珠洲市の廃校を活用した能登学舎は昨年開設10周年を迎え,能登里山里海マイスター育成プログラムや珠洲市の寄付による能登里山里海研究部門,環日本海域環境研究センターの能登大気観測・スーパーサイト,自動運転車公道実証実験の実施など多くの連携事業を推進し,珠洲市とは改めて「持続可能社会構築に向けた知の拠点づくり協定」を昨年10月に個別に締結させていただきました。また7月には能登町と「人づくり・海づくり協定」を締結し,本学臨海実験施設を活用した海洋教育の振興と海洋生物資源の確保育成に関する教育研究を推進すべく,新たなスタートを切りました。理工学域の生命理工学類(仮称)の教育研究のための能登キャンパス構想とも連携させ,さらなる環境整備を進めたいと考えております。それらを含め,引き続き県内外の自治体や関係機関との連携協定に基づいた教育・研究活動を推進し,これまで以上に地域に愛される大学創りを目指します。

キャンパス整備でも,宝町地区再開発事業が終了し,昨年7月には,当時の馳文部科学大臣をお招きして医学類プロムナード・病院駐車場の完成祝賀式を開催することができました。今後は,スポーツ施設整備や学生寮の移転,また教職員宿舎の移築などの青写真を構想します。

さて我が国の財政が逼迫し,少子高齢化や一極集中に起因する人口減少が加速する中,今,国立大学はかつて経験したことのない厳しい財政状況にさらされ,その存在価値が問われています。世界をリードする研究成果をもって実施するグローバル人材育成のための先進的かつ効果的な教育,人材育成こそが,輝かしい日本の未来社会を切り開く鍵,礎となると私は信じます。その実現に向け一翼を担うべく,引き続き大胆な改革を,皆さんお一人一人の力をお借りしながら,スピード感をもって着実に進め,新しい金沢大学を創って参りたいと覚悟を新たにしております。その根底には聖域を許さない財政改革を覚悟せねばならないことを我々は肝に銘じなければなりません。

ちなみに,今年の干支「丁酉(ひのととり)」は,「苦労して生まれくるもの,産みの苦しみから未来への希望や幸せも垣間みえる年」ということだそうですので,これに倣い,改革のさらなる進展を大いに期待したいと考えております。新たに迎えた平成29年は,本学にとって大きな飛躍を目指す基盤を確立すると同時に,取り組んできた挑戦,そして改革を軌道に乗せる,4年間の総仕上げとなる年と,私自身,覚悟を新たにしております。

ご承知のとおり,本学は昨年,第3期中期目標・中期計画期間の開始年度となる平成28年度概算要求において,金沢大学の10年,20年先を見据えた議論の末,機能強化のための重点支援3を選択するという大変重い決断をいたしました。結果,本学は旧帝大を含む15の大学と,さらには世界を相手に,研究力・教育力を競っていくこととなりました。財政面においても,今後大学運営は一層厳しい局面を迎えるものと予想されます。大学の財政健全化に心がけ,大学の英知を結集して,この難局を乗り越えねばなりません。

本年はまた,金沢大学の教育改革が大きく前進する年になることを期待しております。KUGSを体現する教養教育GS科目の充実と英語化を推進するとともに,専門教育,大学院教育のGS科目開発と,SGU事業の目標に沿った英語による授業科目の大幅な拡大を進めます。より多くの日本人学生を海外に派遣すべく,トビタテ留学JAPAN日本代表プログラムなどの外部プログラムのみならず,大学が独自で構築する海外派遣プログラムの充実・強化や国際インターンシッププログラム開発,金沢大学基金による海外留学奨学金の充実により,組織的に派遣学生数,対象学年を拡大させていきます。関連して,現在新営中の学生留学生宿舎「先魁」Ⅱ期の200室分についてもこの3月には竣工する予定です。これにより,ハード面でもキャンパスのグローバル化を推進し,教育研究の国際化,グローバル化に資する環境を整備して参ります。

研究力強化においては,新学術創成研究機構,がん進展制御研究所,環日本海域環境研究センター,子どものこころの発達研究センターや研究域内センターなどを軸に,引き続きリサーチプロフェッサー制度・コンカレントアポイントメント制度やテニュア・トラック制度を最大限に活用しながら,本学に優位性のある研究をさらに強化する施策を継続することにより,異分野融合研究,新たな学問領域の創成,将来有望な若手研究者の育成を加速度的に推進して参ります。また教員業績評価の着実な実施と処遇への反映についても,合意形成に努め,働き甲斐のある研究環境と処遇実現に努めて参ります。 

研究支援体制では,URA組織の再編とIR機能の強化,先端科学・イノベーション推進機構の充実,研究設備共用サポートセンターの実質化にも力を注いで参ります。

一方,研究成果の社会実装,産学連携では,国が進める地域イノベーション・エコシステム形成事業への対応をはじめ,地域や産業の創造,育成に対応できる体制の整備や事業自体の飛躍的な推進など,地域に存立する国立大学として中心的に貢献する方向に舵を切らねばならないと考えています。

さらに,地域貢献の重要な一翼を担う附属病院については,その経営健全化を進めながら,臨床研究を推進し,地域医療を支える北陸地域の中核病院として今日以上のプレゼンスを発揮できるよう,北陸臨床研究推進機構メンバーをはじめ地域医療機関等との連携体制の強化を推進して参ります。また一方では,医療関連業務の改善,経営業績指数等の向上と,コメディカルスタッフを含む医療従事者の自己能力開発を進めます。

限られた時間内で全てを網羅的に示すことは避けますが,SGU事業に沿った教職員の国際・グローバル対応能力の開発と,全ての必要文書のバイリンガル化も忘れてはならない重要事項です。男女共同参画,女性研究者支援ダイバーシティ環境整備も大切です。昨夏に実施したサマータイム制はあまり好評ではありませんでしたが,ワークライフバランス,働き方を教職員全員で考える年にもしてほしいと思います。

平成29年,金沢大学は,学域学類制移行期に次ぐ,変革のときを迎えつつあります。この激動の時期を,皆さんの力を結集し,「皆が頑張る,地域に愛され,世界に輝く金沢大学」を教職員一人一人の努力で実現することこそが,この激動期を乗り越える原動力である,私はそう信じております。皆さん,今年も一年,共に頑張りましょう。

 

平成29年1月4日
金沢大学長 山崎 光悦

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