○金沢大学学生懲戒規程
(平成18年4月1日規程第558号)
改正
(趣旨)
第1条
この規程は,金沢大学学則第70条又は金沢大学大学院学則第41条の規定に基づき,学生の懲戒に関する手続その他必要な事項を定める。
[
金沢大学学則第70条
] [
金沢大学大学院学則第41条
]
(基本的な考え方)
第2条
学生に対する懲戒は,学校教育法第11条及び学校教育法施行規則第26条の規定に基づき,学生に対する制裁としての一定の不利益を与える処分である。
2
懲戒は,懲戒対象行為がなされたことを要件として,その態様,結果,影響等を総合的に検討し,教育的配慮を加えた上で行われなければならない。
(懲戒の対象となる行為)
第3条
懲戒の対象となる行為は,次のとおりとする。
(1)
刑罰法令に抵触する行為
(2)
本学が定める規則及び規程等に違反する行為
(3)
試験等における不正行為
(4)
本学の教育研究活動又は管理運営を妨害する行為
(5)
その他本学の名誉及び信用を著しく失墜させる行為
(懲戒の種類及び内容)
第4条
懲戒の種類及び内容は次のとおりとする。
(1)
退学 学生としての身分をはく奪すること。
(2)
停学 自分が行った行為について考え,更生のための時間を与えるため,期間を定めずに(以下「無期停学」という。)又は期間を定めて(以下「有期停学」という。),登学を禁ずること。
(3)
訓告 文書により注意を与え,将来を戒めること。
2
無期停学の期間は6か月以上とし,有期停学の期間は7日以上6か月未満とする。
(懲戒の量定)
第5条
懲戒処分の量定は,別表1に定める懲戒処分の標準例(以下「標準例」という。)に準拠する。
2
懲戒処分の量定に当たっては,個々の事案の事情に即し,標準例に定める処分を加重軽減することができる。
3
前2項の規定にかかわらず,標準例に掲げられていない懲戒対象行為については,標準例に照らして判断し,相当の懲戒処分を行うことができる。
(調査委員会による処分方針案の策定)
第6条
懲戒対象行為を行った学生が所属する学域長,研究科長又は国際基幹教育院長(以下「部局長等」という。)は,懲戒対象行為を確認したときは,調査委員会を設置し,懲戒対象行為に係る事実の認定及び懲戒処分の量定に係る審議をさせなければならない。
2
調査委員会の委員長及び委員は,部局長等が指名する。
3
調査委員会は,懲戒対象行為に係る事実の認定に当たっては,事実関係の調査及び当該学生に対する事情聴取を行わなければならない。
4
調査委員会は,当該学生に対する事情聴取に際し,口頭による意見陳述の機会を与えなければならない。ただし,学生が心身の故障,身柄の拘束その他の事由により,口頭による意見陳述ができないときは,これに代えて文書による意見提出の機会を与えるものとする。
5
調査委員会は,認定した事実とともに,次の各号に掲げる事項を総合的に判断して,懲戒処分の量定に係る審議を行い,処分に関する方針案(以下「処分方針案」という。)を策定し,部局長等に提出しなければならない。
(1)
当該学生の状態等並びに行為の悪質性及び重大性
(2)
懲戒対象行為の動機,態様及び結果
(3)
過去の懲戒対象行為の有無
(4)
日常における生活態度及び懲戒対象行為後の態様
6
第3項及び第4項の規定にかかわらず,当該学生が正当な理由なく事情聴取に応じない場合及び口頭による意見陳述に応じない場合又は文書による意見を提出しない場合は,当該事情聴取の機会及び意見陳述の権利を自ら放棄したものとみなし,当該学生からの事情聴取及び意見陳述の機会の付与を行わないことができるものとする。
(悪質性及び重大性の判断基準)
第7条
前条第5項第1号の悪質性及び重大性の判断基準は,次のとおりとする。
(1)
悪質性については,当該学生の主観的態様,当該懲戒対象行為の性質,当該懲戒対象行為に至る動機等により判断する。
(2)
重大性については,当該懲戒対象行為により被害を受けた者の精神的被害を含めた被害の程度,当該懲戒対象行為が社会に及ぼした影響等により判断する。
(懲戒処分の均衡及び調整)
第8条
部局長等は,第6条第5項の規定により提出された処分方針案について,教育担当理事に意見を求めなければならない。
2
教育担当理事は,前項に規定する意見の求めがあったときは,全学的な均衡及び調整を図る見地から検討し,その検討結果を部局長等に通知する。この場合において,部局長等は,教育担当理事から再審議の必要がある旨の通知があったときは,調査委員会に再審議をさせ,その結果を教育担当理事へ報告しなければならない。
3
教育担当理事は,前項後段に規定する報告の提出があった場合において,その報告により難いと認めるときは,部局長等を通じ,全学的な均衡及び調整を図る見地から,調査委員会に対し処分方針案の修正を指示することができる。
4
部局長等及び調査委員会は,前項に規定する指示があった場合は,これに従い,処分方針案の修正を行うものとする。
(懲戒処分の申請)
第9条
部局長等は,前条の手続きを経た処分方針案につき,教育研究会議,新学術創成研究科会議又は国際基幹教育院教授会議(以下「教育研究会議等」という。)の議を経て,懲戒処分申請書を作成し,速やかに学長へ懲戒処分の申請をしなければならない。
(懲戒処分の決定)
第10条
学長は,部局長等からの懲戒処分の申請に基づき,教育研究評議会の議を経て,懲戒処分を決定する。
2
前項の規定にかかわらず,学長は,申請のあった事案に係る懲戒処分に対して,訓告又は1か月に満たない期間の停学が相当であると判断した場合は,教育研究評議会の議を経る前に,これを決定することができる。ただし,学長は決定後速やかに教育研究評議会に付議しなければならない。
3
学長は,前項で決定した懲戒処分のうち,1か月に満たない期間の停学において,懲戒の対象とする行為の事実が明白でかつ当該学生がその事実及び当該懲戒処分の受入れを認めている場合,停学の始期を当該行為のあった日の当日とすることができる。
4
学長は,前3項の懲戒処分を決定したときは,懲戒処分(退学・停学・訓告)告知書(以下「告知書」という。)を添付して,速やかに部局長等に通知する。
5
懲戒処分は,教育研究評議会が部局長等からの懲戒処分の申請を承認した日に,発効する。
ただし,第2項に該当する場合は,学長が懲戒処分を決定した日に,発効する。
6
部局長等は,当該学生に告知書を交付することにより,速やかに懲戒処分の告知をしなければならない。
7
学長は,懲戒処分を行ったときは,学内に告示する。
(無期停学処分の解除)
第11条
部局長等は,無期停学処分を受けた学生について,その反省の程度及び学習意欲等を総合的に判断して,その処分を解除することが相当であると認めるときは,学長に対し,その処分の解除を申請することができる。
2
無期停学は,原則として6か月を経過した後でなければ,解除することができない。
3
無期停学処分の解除の発効日は,教育研究評議会が処分解除申請を承認する際に定める。
4
第6条,第8条から前条までの規定(前条第3項及び第5項を除く。)は,無期停学処分の解除に準用する。この場合において,前条中,「懲戒処分告知書」とあるのは,「懲戒処分解除通知書」と読み替えるものとする。
(停学期間と在学年限・修業年限の関係)
第12条
停学の期間は,在学年限に含め,修業年限に含まないものとする。
ただし,停学の期間が1か月未満の場合は,修業年限から1か月を減ずる。
(懲戒処分学生の成績の取扱)
第13条
懲戒処分を受けた学生の成績の取扱については,別表2に定める懲戒処分による成績への影響例に準拠する。
(懲戒処分と学籍異動)
第14条
部局長等は,懲戒対象行為を行った学生から,懲戒処分の決定前に自主退学又は休学の申出があった場合には,この申出を受理しないものとする。
2
部局長等は,停学中の学生から停学期間を含む休学の申出があった場合には,この申出を受理しないものとする。
3
休学中の学生が停学となった場合,停学開始日は原則として当該休学期間終了後とする。
(不服申立て)
第15条
懲戒処分を受けた学生は,次の各号の一に該当する事由があるときは,懲戒処分の発効日の翌日から起算して14日以内に,学長に対し書面により不服を申し立てることができる。
(1)
懲戒対象行為に係る事実の認定の基礎となった証拠資料が,偽造又は変造されたものであることが判明した場合
(2)
懲戒対象行為に係る事実の認定の基礎となった証人の証言が,虚偽のものであることが判明した場合
(3)
懲戒対象行為に係る事実の認定の後に,重大な証拠が新たに発見された場合
(4)
懲戒対象行為に係る事実の認定に影響を及ぼす事実について,判断の遺脱があった場合
2
前項の不服申立ては,1回に限り行うことができる。
3
第1項の書面には,不服を理由づける事実を具体的に記載し,根拠となる資料を提出しなければならない。
4
学長は,第1項の不服申立て及び根拠資料の提出があったときは,申立書及び根拠資料を部局長等に送付し,再調査をさせるものとする。
(再調査委員会の設置)
第16条
部局長等は,学長から懲戒処分に係る不服申立書及び根拠資料の送付があったときは,再調査委員会を設置しなければならない。
2
再調査委員会の委員長及び委員は,第6条第2項に規定する調査委員会委員以外の教員とし,部局長等が指名する。
3
再調査委員会の委員は5人以上とし,部局長等は,必要があると認めるときは,他の部局の教員を当該教員が所属する部局長の承諾を得て,委員とすることができる。
(不服申立てに対する調査)
第17条
再調査委員会は,不服申立書及び根拠資料に基づき,不服申立てに正当な理由があるかどうかの判断に当たって,事実の確認を行う。
2
再調査委員会は,調査委員会の懲戒処分手続きに係る記録の確認を行う。
3
再調査委員会は,前2項の調査に基づき,申立書の根拠となる事実の存否及び懲戒処分の量定に係る審議を行い,再調査に基づく対処方針案(以下「再調査対処方針案」という。)を策定し,部局長等へ提出しなければならない。
(懲戒処分の均衡及び調整)
第18条
第8条の規定は,再調査対処方針案に準用する。
(不服申立てに対する回答書の決定)
第19条
部局長等は,前条の手続きを経た再調査対処方針案につき,教育研究会議等の議を経て,不服申立てに係る回答書を作成し,速やかに学長に提出しなければならない。
2
学長は,前項の部局長等からの不服申立てに係る回答書の提出があったときは,教育研究評議会の議を経て,不服申立てに係る回答を決定する。
3
学長は,前項の決定内容について,速やかに部局長等及び当該学生へ文書をもって通知する。
4
学長は,再調査によって懲戒処分内容を変更したときは,学内に告示する。
(その他の教育的措置)
第20条
部局長等は,第4条に規定する懲戒のほか,教育的措置として口頭による厳重注意を行うことができる。
2
部局長等は,第3条に規定する懲戒の対象とする行為の事実が明白であると認めるときは,懲戒処分の決定前に,当該学生に対して自宅謹慎を命ずることができる。この場合において,自宅謹慎中の期間は,停学期間に算入することができる。
(懲戒処分に関する情報公開)
第21条
懲戒処分を受けた学生の将来を考慮し,成績証明書その他当該学生の成績及び修学状況に関する文書で,被処分者及び大学関係者以外の者が閲覧する可能性のあるものについては,原則として懲戒の内容を記載しないものとする。
(関係者の守秘義務)
第22条
学生の懲戒等に関係する事項に関わった職員は,その地位にあることから知り得た情報に関する守秘義務を負う。この義務は,その地位を解かれた後も継続する。
(雑則)
第23条
この規程の施行に関し必要な事項は,別に定める。
附 則
1
この規程は,平成18年4月1日から施行する。
2
平成17年度以前の入学者については,第17条に定める共通教育科目を教養的科目に読み替えるものとする。
附 則
1
この規程は,平成20年4月1日から施行する。
2
平成20年3月31日に在学する者については,本規定を準用する。
この場合において,「学域」とあるのは「学部」と読み替えるものとし,その審議する教育研究会議については,次の表のとおりとする。
学部
学科等
教育研究会議
文学部
人間学科
人間社会系教育研究会議
史学科
文学科
教育学部
学校教育教員養成課程
障害児教育教員養成課程
人間環境課程
スポーツ科学課程
法学部
法政学科
経済学部
経済学科
理学部
数学科
理工系教育研究会議
物理学科
化学科
生物学科
地球学科
計算科学科
医学部
医学科
医薬保健系教育研究会議
保健学科
看護学専攻
放射線技術科学専攻
検査技術科学専攻
理学療法学専攻
作業療法学専攻
薬学部
薬学科
創薬科学科
従前の学科
総合薬学科
工学部
土木建設工学科
理工系教育研究会議
機能機械工学科
物質化学工学科
電気電子システム工学科
人間・機械工学科
情報システム工学科
附 則
この規程は,平成22年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,平成24年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,平成26年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,平成27年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,平成28年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,平成30年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,令和2年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,令和3年4月1日から施行する。
附 則
1
この規程は,令和5年3月17日から施行する。
2
この規程の施行日前に第6条第1項に規定する調査委員会を設置した学生の懲戒については,改正後の規定にかかわらず,なお従前の例による。
附 則
この規程は,令和6年4月1日から施行する。
別表1
懲戒処分の標準例
別表2
懲戒処分による成績への影響例