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金沢大学Web広報誌 e-Acanthus

金沢大学連携融合事業「日中無形文化遺産」公開シンポジウム

2007年11月23日

 11月23日,金沢大学サテライトプラザにおいて,公開シンポジウム「日中両国の方言の過去,現在,未来」を開催しました。本シンポジウムは,連携融合事業「日中無形文化遺産」の一つの柱である『漢語方言地図集』編纂・出版プロジェクトの一環として,連携の実質化を目的として開催されたものです。

 同地図集は,現在,北京語言大学語言研究所によって急ピッチで進められていますが,金沢大学側は日本の研究のノウハウと実績を生かして,これに協力しています。当日は,約40名の来場者がありました。

 シンポジウムは,第一部「中国」,第二部「日本」,第三部パネルディスカッションの三部構成で進められ,予定の時間を超過して4時間半にわたって行なわれました。

第一部「中国」
講演
曹志耘 (北京語言大学語言研究所所長)「『漢語方言地図集』の概要」
劉暁海 (北京語言大学語言研究所研究員)「『漢語方言地図集』と漢語方言地理情報システム」
趙日新 (北京語言大学語言研究所教授)「中国農村地域における伝統方言保存の現状」

 曹志耘氏は『漢語方言地図集』編纂の責任者で,講演では,出版の意義,編纂事業の経緯,そして地図集の具体的内容について紹介がありました。

 2001年以来4年間で完了した現地調査は,全国930地点を対象とし,音声425項目,語彙470項目,文法110項目の計1005項目のデータが収集されました。データ整理,語形分類はほぼ完了し,作図作業も大詰めを迎えています。当初の予定を繰り上げ,明年3月には音韻巻2冊,語彙巻2冊,文法巻1冊の3巻5冊からなる地図集が刊行される予定です。

 劉暁海氏は,方言調査データを地理情報システム(GIS)内でどのように分析処理するかについて具体的に紹介されました。趙日新氏の報告は,本連携融合事業のテーマの一つ「保存」に関するもので,中国農村における伝統方言の保存と標準語(普通語)普及の現状,都市に流入する農民労働者の標準語・方言使用と意識について実態報告がありました。

 

第二部「日本」
講演
大西拓一郎 (国立国語研究所主任研究員) 「日本の言語地理学の歩み」
新田哲夫 (金沢大学文学部教授)「言語島について」

 大西拓一郎氏は1989年~2006年に刊行された国立国語研究所『方言文法全国地図』(GAJ)の編集責任者で,講演では,日本の言語地理学に関する研究史と,GISによって方言情報を地理情報や地域社会の特性といった他の情報と結びつける最新の手法についてお話いただきました。

 新田哲夫氏は,言語の特徴がちょうど絶海の孤島のようにみえる「言語島」について,石川県白峰方言等を例に,調査,研究の意義を説かれました。

 

パネルディスカッション

 5人の講演者が再度登壇し,4名のコメンテーター(石汝傑,中井幸比古,秋谷裕幸,胡士雲の各氏)及び一般参加者との間で活発な議論が展開されました。トピックスは多岐にわたり,1時間余りではもとよりすべてを議論し尽くすことは不可能でしたが,交流と連携を今後さらに深化させる点で,日中双方の認識が一致しました。

2007年11月の記事

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