準備委員会委員長あいさつ

附属図書館長 柴田正良
1. 趣旨:
古き濫觴(らんしょう)を尋ねて,真理の水源にいたり,滴また創造の大海をめざす
金沢大学は,2012年(平成24年)に,その源流となる加賀藩種痘所の設立(文久2年)から数えて150年目の節目を迎えます。いま,21世紀の初めを中間点として,金沢大学はこれまでの150年の活動をどう継承し,今後の150年の展開をどう図っていくべきなのでしょうか。本事業の発端となったのは,金沢大学の濫觴としての加賀藩種痘所でした。「濫觴(らんしょう)」とは難しい言葉ですが,長江のような大河でさえその源流にまで遡れば小さな杯(觴)に溢れる(濫れる)ほどの僅かな流れである(荀子),ということから,ものの起源,始まりを意味するのだそうです。
その濫觴の一滴であった蘭方医・黒川良安と門下生たちの心にあったのは,やがて大海に注がんとする高い志,すなわち人命を救わんとする強い願いと未だ不確かな治療法に対する恐れなき挑戦であったに違いありません。われわれは「創基150年」事業をもって,金沢大学が創建以来ずっと掲げつづけている,人類に貢献せんとするあの<高い志>に再び思いを馳せ,その大きな流れの中にわれわれの未来を拓こうとするものです。われわれはこの事業を通して,本学の真のアイデンティティを,われわれ自身を含めたすべての人々の胸中に深くはっきりと刻み込むことを望んでいます。
2. 目的:
<先魁 共存 創造>
金沢大学は,「創基150年」事業を通して,「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」という本学のアイデンティティを具体的な姿において確立することをめざします。それは,<先魁>としての優れた人材養成であり,弱者・少数者を含めたすべての命が豊かに<共存>できる世界の構築であり,未来における先端的な研究・医療の<創造>です。本事業においては,この3つのキーコンセプトの下に,金沢大学とはこれまで何であったのか,いま何であるのか,そしてこれから何であろうとするのか,ということを国内外に向けて発信します。
<先魁>としての人材養成としては,3学域・16学類の新たな教育組織が内包する大きな可能性を中心に,大学院研究科を含めた教育への本学の取り組みをさまざまな角度から紹介し,新たな視点からの展開にも着手します。また<共存>への貢献としては,「角間の里山自然学校」や「能登の里山里海自然学校」を含めた多様な形での地域連携を応援し,社会貢献の新たな姿を模索します。そして最後に,先端的な研究・医療の<創造>としては,「革新脳科学の創成」と「環日本海の環境計測」という2つの21世紀COEプログラムを先頭とした世界水準の多くの研究の成果を分かりやすく社会に発信するとともに,次世代のCOE研究につながるさまざまな萌芽をサポートします。