| 取組名称 : | 大学連携による石川の「知」の拠点の創出−いしかわシティカレッジの整備・充実− |
| 取組機関名: | 金沢大学,北陸先端科学技術大学院大学,石川県立看護大学,金沢美術工芸大学,金沢医科大学,金沢学院大学,金沢工業大学,金沢星稜大学,金城大学,北陸大学,石川県立農業短期大学,金沢学院短期大学,金城大学短期大学部,小松短期大学,星稜女子短期大学,北陸学院短期大学,石川工業高等専門学校,金沢工業高等専門学校,放送大学 |
【取組について】
(1)取組の概要
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我が国が知的存在感のある国として国際社会に立ち行くには,地方の発展は必須である。石川県・金沢市は,日本海側の主要な学術文化都市として発展してきたが,県内の各高等教育機関(大学,短大,高等専門学校)にはさらなる要請に応えることが期待されている。現在ある19の高等教育機関及び石川県は,平成11年に「いしかわ大学連携促進協議会」を設置し,平成15年に単位互換協定を締結し「いしかわシティカレッジ」を開校した。 本取組は,シティカレッジを学生の学びと社会文化体験の場とし,また県民・市民の生涯学習や社会人のリフレッシュ・リカレントの場とするなど,キャンパスの共通化による教育の複合効果を引き出すことで,個々の大学の教育機能を高め,ひいては知の拠点としての学術文化都市の形成を目指す。 (2)プログラムとの適合性 ア 目的 大学等の高等教育機関(以下「大学等」という。)の教育活動は,学生に一般教育と専門教育を提供し,時代と社会の要請に応えて,善良な市民と有為な職業人を育成することにある。21世紀はグローバル化・国際化や情報化・IT化がいよいよ加速し,国内にあっては少子・高齢化が進む時代であり,大学等に学ぶ学生は,18歳を中心とした正規生のほか,リフレッシュ・リカレントのための社会人,生涯学習を目指す科目等履修生など,一般化・多様化の方向にある。 本取組は,このような状況と立場にある現代の教育ニーズを踏まえ,既に設立したシティカレッジを基盤に県内の大学等の連携を更に強め,それに応える事業を展開するものである。 イ 取組の経緯 県内の大学等は,これまでも自らの教育機能を高めるべく個別に改革等を進める一方,「いしかわ大学連携促進協議会」のもとで,協調による全体機能の向上を目指してきた。 石川県庁内に設置されたシティカレッジは,大学等の提供する授業科目を他大学の学生や一般社会人に開放し,履修科目の多様化や一般社会人の生涯学習機会の拡大を図っている。その際,授業料等は支払わずに科目の履修と単位の取得を可能としている。また,一般社会人に対しては,単位取得を目的とする「科目等履修生」と,取得を目的としない「シティカレッジ聴講生」に授業を提供している。 申請テーマ「大学連携による石川の「知」の拠点の創出」は,開設して間もないシティカレッジを発展・充実させ,事業を軌道にのせることにある。現段階では,学生のニーズを満たすには不十分であり,大学等が自由度をもってカリキュラムを編成するには至っていないことから,大学等は,“競争に立った協調”を共通理念として,学生と社会のニーズに応えて提供すべき共通的な部分については相互に補完しあう一層の努力が必要とされている。平成16年度においては,自大学が提供できる科目ではなく,他大学等から要望される科目を中心としたカリキュラム編成がシティカレッジにおいてはじまっている。 ウ 申請テーマの取組 本取組は,下図に模式的に示した内容と位置づけをもって実施するものであり,現代的教育ニーズとの整合は以下のように説明される。 <一般学生に対する授業> @グローバル化・国際化に伴い,複数の言語や情報スキル,さらには倫理観の涵養など,幅広い教養の修得が求められている。大学等の限られた人的資源を有効活用し,テーマ別の科目や総合的な科目とともにこれらの授業科目を提供する。 A異文化理解への関心が高まるなかで,それぞれが暮らす地方や国の文化理解は必須であり,このことを踏まえて石川県の伝統と文化を教授する。そのために,例えば,金沢学,いしかわ学,日本海学などを学問として体系化し,新規の授業科目を開講する。 B自然及び社会現象が複雑化し,またそれに伴い人間の行動や情動が不安定で見え難くなっている今日,広領域に生ずる問題の解決のために,知識依存ではなく,問題を分析解析し処理する能力が求められている。このため,特定の領域に限定されない主専攻・副専攻制による専門教育を可能とする。 C学生の自己形成には,友人や教師とのふれあいや課外活動などが有効であり,それによってキャンパス文化の創造が期待される。シティカレッジを様々な専門を学ぶ学生や社会人などが集う場とすることで,新しいキャンパス文化を発展させる。 これらにより,各教育機関にカリキュラム編成の自由度を与えるとともに,教育内容の充実と改革を促すことが可能になる。 <企業人,一般社会人,高校生等に対する授業> @終身雇用や年功序列など,日本型の雇用形態が崩れつつあるなかで,職業を自らの人生計画と捉えるキャリアプランの時代に入りつつある。このような時代の要請を受けて,シティカレッジをリカレント教育やリフレッシュ教育の場として提供する。 A少子・高齢化の時代にあって,生涯学習はいまや潮流であるが,伝統文化を生活の一部に取り込み継承している学都・石川には本来その土壌がある。シティカレッジで開講されている授業科目を県民・市民に提供し,その生涯教育に貢献する。 B大学進学率が向上している今日,高校生等に大学等での学問内容を示し,進学への動機づけを行うことは大切であり,シティカレッジを体験授業の場として提供する。 なお,本取組は平成14年2月の中央審議会答申「新しい時代における教養教育の在り方について」の中に示される「教養教育の実施に当たり,大学間の連携・協力を積極的に進めていくことが有効である。例えば,放送大学を含め複数の大学間の単位互換等により学生が選択できる授業科目の幅を広げたり,情報通信技術の活用等により,複数の大学で教養教育のカリキュラムや教材の共同開発や授業を行うことなどが求められる。」にも合致するものである。 |
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(3)実現可能性(具体的な実施能力) ア 取組の実現可能性 本取組の各事項に対する実現可能性は,以下のように説明される。 @個々の大学だけでは実施が困難な教養的科目(語学,情報,倫理,各種の総合別科目など)や副専攻制のための専門科目の導入については,19の大学等の教員は文系から理系にわたる広範な専門を守備しているため,提供は容易でありコンテンツの開発も可能である。 A金沢学,いしかわ学,日本海学などの地域の自然・生活・文化に関する授業は,これまで金沢大学等でも実施され,また石川県や金沢市を中心に“学都論”が展開されてきた。シティカレッジでは,それぞれの実績を持ち寄り,さらに強化・体系化することで新たな授業科目として提供することを計画している。 Bシティカレッジに集う学生は,美術・工芸,文学,教育,法学,経済,薬学,農学,工学,情報,看護,医学など広範な専門性を有する。また,国・公・私立の大学,短大,高等専門学校,大学院大学及び放送大学など様々な高等教育機関からなり,それに加えて,高校生,一般社会人,企業人などと多様である。 シティカレッジ内に多目的の学習スペースを設け,このような多様な学生と教員がゼミやグループワークを通して語り合う機会を持つことで,自発的なキャンパス文化の創成が期待される。 Cいしかわシティカレッジは石川県の強力なバックアップのもと,全国的にもまれな例として独自のキャンパスを持っている。このキャンパスは,金沢市街地の石川県庁内に立地しており,ビジネスマンはもちろんのこと,学生や一般市民が集う場所として最適である。また,兼六園に隣接するこの一帯は,学都・石川の「知」の拠点として相応しく,史跡や美術館などが多い歴史的文化ゾーンであり,本計画を遂行するための条件も整えられている。 イ 計画 これらの取組を達成するため,以下のような計画を推し進める。 @シティカレッジ受講生の授業アンケート,各教育機関及びその在学生のシティカレッジに対する要望を集計・分析し,新たな授業科目を企画する。 A各教育機関から適切な人材を集めるとともに,石川県をはじめとする県内の地方自治体の協力のもと有為な人材を招き,地域の伝統と文化に密着した授業科目を企画する。 B各教育機関に所属する教員の研究テーマを精査し,自然及び社会現象を多面的に分析解析し処理する新たな授業科目を企画する。 C個別学習コーナーをシティカレッジに設置してゼミやグループワークに提供し,課外においては自学自習の場とする。 Dシティカレッジ内の授業及び各教育機関から提供される授業をデジタルコンテンツ化し,一般社会人及び高校生に公開する。 Ee-Learningによる単位付与の方策について検討することで,シティカレッジの利便性を 高めるとともに,学生に対する学習環境の整備・充実及び高等教育に対する市民アクセスの向上を図る。 F参加学生・一般社会人による評価アンケートを実施し,それに基づき改善を図る。 シティカレッジ事業においては,カリキュラム編成・授業評価等を行う実施組織としてシティカレッジ教務委員会(以下「教務委員会」という。)が既に設置されており,上記の計画を実施するに当たっての責任主体は整備されている。 (4)教育の社会的効果等 既述のとおり,学生のニーズの多様化と社会現象の複雑化を受けて高等教育機関が提供すべき教育内容もまた多様化している。各教育機関は学内の人的資源・教育設備にとらわれることなく,連携することで多様な授業展開を模索し,学生と社会の要請に応えることも責務といわねばならない。 本取組は,各教育機関に所属する人材を最大限に活用することで,参加各教育機関に教育改革の可能性を与えるとともに,多様な教育プログラムを開発し,教育の質を向上させるために大学連携が果たしうる役割を示すものでもある。 授業科目の相互提供だけでなく,連携することによってはじめて実現しうる授業科目を開発することで,連携の真価が発揮されると考えられる。また,所属機関と専門を異にする多様な学生と教員が集う場を提供することで,それぞれが互いに刺戟しあい,切磋琢磨できることも期待される効果である。 一方,シティカレッジで開講された授業をシティカレッジ内で自己完結させることなく,それに対する多様なアクセス方法も検討しなければならない。それをオン・ディマンド形式で視聴可能とすることで,一般社会人により豊富な教育機会を提供し,その学習意欲に応えることができる。そのことでシティカレッジを,一般社会人にとっての再教育・自己啓発の場としうる。また,各教育機関の設置場所等からくる地理的・時間的な制約のためにシティカレッジに通学することができない学生にも学習機会を提供することができる。さらに,将来的には蓄積された授業内容をもとにe-Learningを実現させ,正規の授業に並ぶものへと発展させていくことも可能である。 加えて,石川県においては,県の施策として平成13年3月に「ITアクションプラン」が策定され,その中に「IT技術を駆使した大学間での学際的な教育・研究」の推進が盛り込まれているが,本取組は,地方自治体が掲げる将来構想の一層の推進に寄与するものであることも付言しておかなければならない。 (5)評価体制等 本取組は前述のように,「大学連携による石川の「知」の拠点の創出」をテーマとして,社会と学生のニーズを満たす授業科目を提供するとともに,各教育機関にカリキュラム編成の自由度を与え,それぞれの教育理念にかなった教育体制の構築を可能とすることを目指している。 開発された個々の授業科目についての評価体制として,既に組織されているシティカレッジ教務委員会が挙げられる。同教務委員会は,下図に示すとおり「いしかわ大学連携促進協議会」の下に置かれている3つの専門部会のうち「シティカレッジ専門部会」の中に置かれた授業科目の企画等を任務とする委員会である。 |
| 同委員会は参加教育機関より選出された教務担当あるいは評価担当の教員等から構成されており,シティカレッジ運営の実質的な責任主体である。同委員会によって,シティカレッジは発足間もないとはいえ,シティカレッジ受講生に対する授業アンケートを既に毎学期行っており,その評価結果をもとに授業改善が進められている。学生の要望に応じて,石川県内の単独教育機関では提供不可能な「スペイン語会話入門」「視覚障害者支援のための音訳」のような新たな授業科目が開発されてきた。 |

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シティカレッジ事業全般にわたる評価体制としては,教務委員会の上位機関である「シティカレッジ専門部会」があり,シティカレッジの在り方を巡って審議している。また,石川県知事と19の高等教育機関の長で構成される「いしかわ大学連携促進協議会」は,県内の高等教育機関が果たすべき責務と役割について審議している。このような評価体制のもと,シティカレッジは各教育機関に在籍する学生の期待と,高等教育機関に多大な期待を寄せる県民の要望に応えることを責務として,各教育機関には多様な教育プログラムを実現させ,その機能の強化を促すことが可能である。 本取組が採択されれば,各機関が在籍学生と県民の期待に応えうる高等教育機関へと進化する可能性と展望が開けて来ること,シティカレッジを「知」の拠点として石川県に新しい文化を生み出しうることは疑いない。 【取組の実施計画等について】 (1)平成16年度 平成16年度においては,本取組を具体的に進めるために必要な以下に掲げる資材及び機材等のシティカレッジ内への導入並びに整備を進める。 @コンテンツ配信用サーバの導入 Aビデオ映像等によるデジタルコンテンツの作成 B高速構内LAN構築及びWeb閲覧のためのサーバ環境整備 C個別学習コーナーの設置 以上の資材及び機材等の導入・整備を図り,シティカレッジにおいて開講する授業の一部のデジタルコンテンツ化を行い,復習を主体とした受講生による実施を試みる。また,各大学等に在籍する学生及び教員の一層の交流を図り,石川県内に所在する教育機関としての一体感を養うことなどを目的として,毎年,シティカレッジキャンパスにおいて「日本海学シンポジウム」及び「学都・いしかわ大学祭」を開催する。 (2)平成17年度 平成17年度においては,授業科目のデジタルコンテンツ化の本格的実施を以下に示す手順により行う。 @シティカレッジで開講するすべての授業科目及び各教育機関において開講する単位互換を対象とするすべての授業科目のデジタルコンテンツ化の実施 A個別学習コーナーにおける受講生による自学自習の実施 B学生及び一般社会人等による外部からのアクセスによる視聴の実施 C評価アンケートの実施 Dシティカレッジ教務委員会による評価結果の集約及び分析 E高校生及び予備校生の大学進学への動機づけに寄与するため,作成したコンテンツを石川県内における高校生,保護者及び進路指導担当の教員等に広く公開する。 (3)平成18年度 平成18年度においては,平成17年度に実施した評価結果に基づきこの取組への更なる整備・充実を図る。また,シティカレッジ教務委員会においてe-Learningによる単位付与に関しての検討を開始する。 |
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金沢大学共通教育機構