
学域長挨拶

「対話」がきりひらく地平――人間社会学域がめざすもの
人間社会学域長 生田省悟
わたしたちの日常には「グローバル化」、「高度情報化」、「多文化共生」、「格差」、あるいは「持続可能性」などといった言葉が氾濫・交錯しています。それはとりもなおさず、現代社会が、複雑に入り組んだ解決困難な課題にさらされている状況を端的に物語っているにちがいありません。今を生きるわたしたちは、これらの課題をどのように受けとめ、未来につなげてゆけばよいのでしょうか。
金沢大学人間社会学域の最大の目標は、わたしたちが直面する諸問題を正面からみすえ、解決にいたる道筋を探る努力を惜しまない人材の育成にあります。そして、問題に対する洞察に満ちた判断力や解決能力を育んでくれるものは、「対話」であると確信しています。
「対話」の機会は、学生同士が語り合う、学生と教員が意見を交わすといった場面だけに限定されるのではありません。長い歴史を通じて蓄積された「学」の成果と向き合い、読み解く行為も優れた「対話」の実践といえるでしょう。背景も価値観も思考回路も異なる同士の「対話」を通じて他者の発言に真摯に耳を傾け、自分自身の意見を明確に伝え、相互の理解を深めてゆく。この過程にこそ、未来の社会に対する展望の手がかりが求められるにちがいありません。人間社会学域における日常は「対話」から成り立っているといえるでしょう。
人間社会学域は「対話」の主体となりうる能力の形成につながるよう、とりわけふたつの措置を講じています。そのひとつは、学生のひとりひとりが学問領域に関する幅広い知識を身につけると同時に、関心や適性に応じて専攻領域を決定できるシステム(経過選択制)です。もうひとつは、自分自身が選んだ専攻領域に加え、学習過程で抱いた他の領域に対する興味や関心を自由に、そして発展的に深化させることができる制度(主専攻・副専攻制)です。
「対話」がきりひらく地平。未来に向けた「知」と「実践力」の獲得を念頭におきつつ、人間社会学域は、学生と教職員とが協働してはじめて実現するダイナミックな学習の意義をつねに追求しています。




